ファイブ・フラッグ理論とは、日本では「5本の旗理論」とも呼ばれるもので、世界各地を移動しながら生活する「パーマネントトラベラー(永遠の旅行者)」と呼ばれる人々の行動理念を指します。
世界各地を移動することでそれぞれの国が持つ魅力を最大限に引き出しつつ、 最小限の税金しか払わない生活スタイルです。
この理論は、アメリカ人のハリー・D・シュルツによって定義されたスリー・フラッグ理論に、W.G.ヒルが2本のフラッグを追加することで完成しました。

目次
ファイブ・フラッグ理論で立てる5本の旗とは
ファイブ・フラッグ理論では5本の旗を使い分けることによって、節税効果が最も高いライフスタイルを構築します。
1本目:国籍を保持している国
国外で稼いだ収入に課税せず、自分の行動を制限しない国の国籍を取得することで効率的に資産を構築します。
日本では二重国籍は認められてはいませんので別の国の国籍を取得はできません。
属地主義と呼ばれる国内居住者のみに課税する方式を採用しているので、日本国籍を持っていても国外に居住していれば住民税などが課税されることはありません。
日本のパスポートは多数の国に出入りできますので、各国を移動しながら暮らす生活スタイルが非常に簡単に実現できます。
2本目:資産を運用する国
資産運用によって発生するキャピタルゲインなどへの税率の低い国を利用することで、投資の効果を最大限にすることができます。
いわゆるタックスヘイブンが、この2本目の旗を立てる国です。
3本目:市民権や居住権を持つ国
個人の所得に対する課税がない国で市民権や居住権を取得することで、生活拠点にかかる税金を最小限にします。
日本国内に住んでいない非居住者になるためには、どこかの国での市民権の取得が必要です。
4本目:法人を設立する国
法人の利益に対する課税が少ない国、あるいは非課税の国で事業を行うことで、事業収益を最大化させることを目指します。
4本目の旗についても、やはりタックスヘイブンに旗を立てます。
5本目:遊びや余暇を過ごす国
遊びや余暇を過ごす国とは、自分で稼いだお金を使う国です。
消費税が低い国や非課税の国が理想的です。
また、物価が極めて安い国であれば、仮に税率が高くても生活コストを低く抑えられますので、5本目の旗を立てる国として、ひとつの選択肢となります。

各国の魅力的な部分を最大限に活用しよう
世界各国で5本の旗を立てることできれば、国や政府による課税から逃れることができます。
決して脱税ではなく、非課税の国々を組み合わせることがポイントです。
現代では、テロや税金逃れなどへの対策のため国境を超える資金移動が難しくなってきていますので、第4の旗「法人を設立する国」をどこにするのかが非常に重要になってきました。
本気で5本の旗理論を実践する人たちは、まだ資産がほとんどない状態から5つの拠点探しを始めています。
ファイブ・フラッグ理論は、税金という現代の生活における最大のコストを抑えることによって、個人の資産を効率的に増やしながらも、各国の魅力的な部分を最大限に活用することによって、人間らしい暮らしをすることを目指しています。
世界を移動しながら生活することには定住する暮らしとは異なる困難も数多くあります。
まずは日本国内での多拠点化を進めつつ、5つの旗理論のテストをしてみてはいかがでしょうか。(執筆者:斉田 暁)