オリンピックイヤーの2020年。沢山の外国人が日本に押し寄せることが予想され、また、外国人観光客の増加も見込まれます。
そんな中、手軽な宿泊先として選ばれるのが民泊です。
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民泊新法施行から現在の状況

マンションの空き部屋を民泊に利用して、近隣住民と問題になった時期がありましたが、2018年6月に施行された民泊新法にて、個人がお手軽に部屋だけを貸すという民泊はほとんど姿を消しました。
住宅宿泊事業(民泊)の届出件数自体はその後も増加し、2019年12月の時点では2万2,671件の届出があり、その件数は民泊新法施行日の10.3倍になっています。
民泊新法で何が変わったの?
元々、施設を設けて、宿泊料を貰い、人を宿泊させる営業を行うには、旅館業法という法律に従って、都道府県知事の許可をもらう必要があります。
民泊新法の場合は、人を宿泊させる日数が180日以内の民泊であれば、許可ではなく、都道府県知事への届出で営業することができます。
また、設備要件として、台所・浴室・トイレ・洗面設備があることが必要など、住宅宿泊事業者には民泊営業をする上で、様々な措置が義務付けられています。
住宅宿泊事業者として必要な措置色々

1. 宿泊者の衛生の確保
シーツやカバーなど直接人が接するものは宿泊者が変わるたびに取り換える宿泊者1人当たりの床面積(浴室、廊下などの面積を除く)は3.3㎡以上 など。
2. 宿泊者の安全の確保
非常用照明器具の取り付けなどの安全措置
避難経路の表示や避難場所などの情報提供
3. 外国人宿泊者に対する措置
住宅設備の使用方法や交通機関についてなど外国語で記載された案内を部屋に置く など。
4. 宿泊者名簿を備え付ける
室内に宿泊者名簿を備え付け、3年間保管する宿泊開始までに、対面やテレビ電話などで本人確認をする。
5. 周辺地域への配慮
ゴミの処理方法、騒音防止についてなど外国語で記載された案内を部屋に置く。
6. 周辺住民から苦情があった場合の対応
時間帯に関わらず、直接、または電話にて対応しなければならない。
7. 標識を掲示する
住宅宿泊事業(民泊)の届出がされていることを玄関などに提示する。
8. 定期的に報告
都道府県知事などへ、稼働日数、宿泊者数、国籍などを定期的に報告しなければならない。
今時の民泊不動産投資
民泊新法施行前に比べて、新規での民泊事業はひと手間かかるようになっていますが、そこに商機を見出している業者も多くあります。
例えば、愛媛では空き家を民泊施設にして開業し、地元で水揚げされるカツオのワラ焼き体験を提供したり、大阪府では築70年の町屋をリノベーションして民泊施設に変え、生活文化を体験してもらうなど、プラスアルファの工夫をして民泊運営をしています。
いずれも、使われていない不動産を活用した方法ですが、こういった民泊用不動産を専門に扱うサイトもあります。
人口減少なのに住宅が建て続けられ、住宅供給過多とも言われている現状を反映してか、物件数も数多くありますので、本気で民泊運営を考えている場合は利用してみるのもいいかもしれません。
また、ダイワハウス工業では、2階から6階までを民泊対応、7、8階は通常の住居用という新しい形態の民泊投資用マンションを札幌にて着工し、31年4月に完成予定となっています。
民泊で利用している人が、住居用のフロアに入ることはできないようになっているなど、民泊利用の人と住民との共存が問題なくできるように工夫されています。

今後、民泊の需要の見通しは?
政府では2020年の外国人観光客数を4000万人、2030年には6000万人にするという目標を立てています。
今年は東京オリンピック、2025年には大阪万博、そして、もし、誘致が成功すれば2030年の札幌冬季オリンピックなど、国内の民泊施設の活躍の場はしばらく続きそうです。
興味のある方は民泊運営を検討してみるのもいいかもしれません。(執筆者:AFP、2級FP技能士 大川 真理子)