お手持ちの保障に「入院一時金」はついていますか。
入院日数が短くなってきている近年では、「日額いくら」の入院保障よりも、日数に関係なく受け取れる「入院一時金」の方が「使える」保障と言えるでしょう。
しかしながら、これまでの入院一時金は「医療保険のおまけ」のような存在でした。
医療保険の「入院日額」と「入院一時金」は連動しているものが多いため、「入院一時金」の上限金額を高く設定するためには、「入院日額」も高くしなければならなかったのです。
ところが、とうとう入院一時金だけで20万円が受け取れる保険が登場しました。
詳しく分析してみましょう。
目次
太陽生命が「入院一時金保険」加入限度額を拡大
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入院日数の短期化に伴い、加入限度額を拡大したとのことです。
・ 生活習慣病一時金保険と組み合わせることで、生活習慣病での入院一時金は最大40万円
・ 女性入院一時金保険と組み合わせることで、女性疾病での入院一時金は最大40万円
注目すべきは、「特約」ではなく「保険」となっている点です。
何らかの死亡保障と組み合わせる必要があり、完全な単品商品ではありません。
しかしながら、医療保険の「日額いくら」と組み合わせる必要がなくなったという点が斬新かつ革新的で、加入者側として使い勝手がよい保険だと言えるでしょう。
つまり、手持ちの保険の足りない部分をピンポイントで補うことが可能な保険なのです。
「日額」や「手術費用」はなくても大丈夫なのか
この「入院一時金保険」には、「入院日額」や「手術費用」がついていません。
もちろん、手持ちの保障に「入院日額」や「手術費用」がついていれば、そちらを残しておくのもよいでしょう。
しかしながら、高額な入院一時金があれば、「入院日額」や「手術費用」がなくてもあまり問題はありません。
入院一時金だけで十分まかなえる
例えば、入院日額5,000円の保障で20万円受け取るためには、単純に40日間の入院が必要です。
逆の言い方をすれば、
なのです。
高額療養費制度を使えば医療費そのものが安くなる
また、日本には高額療養費制度があります。
この制度を使った場合、入院した場合に金額的負担が大きいのは、なによりも初月なのです。
このことからも「入院が始まった時点」で受け取れる「入院一時金」の使い勝手のよさがわかるでしょう。
高額療養費制度については、こちらの記事も参考にしてください。
デメリットも理解しておく
この「入院一時金保険」には20回までという上限があります。
健康なときに考えると「20回も入院しないだろう」と思います。
実際に、私が保険会社に在籍(営業や顧客相談室などで3社経験)していた時に、どこの保険会社でも「入院一時金を使い切った」という話は聞いたことがありませんでした。
しかしながら、こればかりは予知できない部分です。
金銭的に許すのであれば、最小限の入院保障を残しておいてもよいでしょう。
ただし、
だということを覚えておいてください。
入院一時金保険との組み合わせ例
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最後に、組み合わせ例をいくつかご紹介しましょう。
働けなくなったときの保険
働けなくなったときの保険では、以下の状態になったときに一時金を受け取れます。
・ 所定の就業不能状態(公的介護保険制度の要介護2以上・認知症と診断確定・会社の定める所定の状態など)に該当したとき
おすすめプラン
・ 入院一時金: 20万円
この保険との組み合わせは、以下のような方におすすめです。
・「就業不能状態」の保障がない(少ない)
・ 働き盛り世代
特定疾病・疾病傷害保険
特定疾病・疾病傷害保険では、以下の状態になったときに一時金を受け取れます。
・ 11種類の障害状態(呼吸疾患・心疾患・腎疾患・肝疾患・血液造血器疾患・重度の糖尿病・重度の高血圧症・人工透析療法・新ぼうこう造設・人工肛門造設・心臓ペースメーカーや心臓の人工弁置換などによる所定の障害状態)が継続しているとき
おすすめプラン
・ 入院一時金: 20万円(+生活習慣病一時金あるいは女性入院一時金)
この保険との組み合わせは、以下のような保障をお持ちの方におすすめです。
・「生活習慣病」の保障がない(少ない)
・ 医療保険ではなく「医療共済」
・ がん保険・がん医療保険のみ
【乗り換えがおすすめ】
・ 入院保障が「日帰り入院OK」になっていない
・ 入院一時金が少なく、入院日額が高い
・「医療保険」ではなく「医療共済」に加入している
日帰り対応していない入院保険や、日額設定が高額な入院保険は、ほとんど使う機会がありません。
健康状態などで新規契約が可能であれば、早めに乗り換えておくことをおすすめします。
また、医療共済は掛け金が安く済む点が魅力ですが、保障金額が年齢に応じて減っていくという弱点があります。
ある程度の年齢になったら、共済から保険に乗り換えておきましょう。
入院保障で重要なのは「日額」ではなく「一時金」
くり返しになりますが、入院は短期化が進んでいます。
入院保障で重要なのは、「入院日額」ではなく「入院一時金」なのです。
現時点で、「医療保障との組み合わせ不要」で「高額な入院一時金」を扱っている会社は珍しいですが、今後増えていくことは間違いないでしょう。
加入会社も含め、お手持ちの保障をしっかりと確認しておきましょう。(執筆者:仲村 希)