定年後の再雇用によって収入が減る、これは誰しもがイメージしやすい将来像だと思います。
しかし「実際にどれくらい賃金が減るのか」という具体的な数字をご存じでしょうか。
この「給料減額率」を正確に知っておくことは、定年後の資金計画を立てるうえで非常に重要です。
今回は、公的データから定年後再雇用の給料減額率をお伝えしつつ、それに対処する3つの給付制度を紹介していきます。

目次
定年後再雇用の給料減額率は21~50%が多数を占める
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「60代の雇用・生活調査」によると、60~69歳の定年後再雇用によって「賃金額が減少した」と答えた割合は、全体の81%にも上ります。
賃金が減少した人にその減少率をアンケートした結果、次のような減額率を示しています。

定年後再雇用によって賃金が21~60%減少した人の割合は約67%で、ほとんどの人がこの範囲に集中していることが分かります。
定年再雇用制度によって長く働けることはメリットの1つではあるものの、その場合は収入がある程度少なくなることを覚悟しておく必要があるでしょう。
参考元:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(pdf)
定年後再雇用の減額に備えた3つの給付制度
定年後の再雇用によってある程度の収入が減ることは事実ですが、定年後再雇用の減額に備えた給付制度があります。
ここでは、3つの給付制度について紹介していきます。
1. 高年齢雇用継続給付金
高年齢雇用継続給付金とは、定年後再雇用によって給与が減額になった場合に支給される給付金です。
60歳時点の賃金に比べて、再雇用後の賃金が75%未満になった方が対象です。
給付金は再雇用後の賃金に対して最大15%までで、最長65歳まで受け取れます。
たとえば、再雇用後の賃金が20万円だとすると、支給額は最大3万円です。
2. 高年齢再就職給付金
勤め先を1度退職し、再就職を目指す場合は失業給付金が受け取れます。
退職後に求職活動を行っていれば、離職した日の翌日分から1日単位で支給され、90~360日分の給付を受け取れます。
その失業給付金を受けていた60歳以上の方が再就職した場合に支給される制度が高年齢再就職給付金です。
先ほどの高年齢雇用継続給付と同じく、60歳時点の賃金に比べて再雇用後の賃金が75%未満になった方に対して、再雇用後の賃金に対して最大15%までの支給を受けとれます。
ただし、失業給付基本手当の給付日数が100日以上残っていなければならない点に注意してください。
3. 再就職手当
失業給付基本手当の給付日数が3分の1以上ある場合、再就職手当を受け取れる可能性があります。
一定の条件に当てはまる人は、基本手当日額の支給残日数分に対して60%の金額が一時金として受け取れます。
また、失業給付基本手当の給付日数が3分の2以上ある場合、一時金は70%の金額です。
勤め先の再雇用制度を確認しよう
最近では、定年後再雇用の人も働きやすいよう、評価や賞与制度を見直す企業も増えています。
勤め先の再雇用制度がどのようになっているのか、まずは確認しておくことが大切です。
しかし、中には制度が整っていない会社も少なくありません。
そのため、定年後のリスクに備えるため、今のうちに給付金の制度や老後の相談先を検討しておく必要があるでしょう。(執筆者:柳本 幸大)