東京都が児童対策として、ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)を実施しています。
そしてベビーシッター事業者が、「1時間150円でベビーシッターが利用可能に」と記事にしたことで、一気に話題なりました。
ただベビーシッター代を150円で利用すると、負担する税金が増加する可能性がありますのでご注意ください。
※税負担増加分が、利用するメリットを越えることは考えにくいです。

目次
ベビーシッター利用支援事業とは
ベビーシッター利用支援事業とは、子どもが保育所等に入所できるまでの間、保育所等の代わりとして東京都の認定を受けた認可外のベビーシッター事業者を、1時間150円で利用できる事業です。
本来のベビーシッター利用料金から、150円を差し引いた金額について東京都が認定事業者に支払うため、利用者は150円でベビーシッターを利用できます。(ベビーシッター利用料金が1時間2,150円の場合、実費負担150円を差し引いた2,000円は東京都が負担する)
そのため利用者は、1時間150円でベビーシッターを利用できますので、保育園に預けられない場合でも仕事復帰がしやすくなる仕組みです。
ベビーシッターの助成金は利用者の雑所得となる
1時間150円でベビーシッターを利用できるのは、とてもお得です。
ただ注意すべきは、東京都が負担するベビーシッター利用料金は、利用者の雑所得となる点です。
雑所得とは所得税の種類の1つで、所得税を計算する際、給与所得や一時所得などと合算し税金計算を行います。
また給与所得には給与所得控除(最低65万円)がありますが、雑所得は収入を得るために支払った経費で控除できません。
そのため東京都が支払う助成金のほとんどが、そのまま利用者の雑所得として計上されます。
ベビーシッターを利用する時間が長いほど税金負担が多くなる

助成金は、本来のベビーシッター代から150円を差し引いた部分が対象です。
そのため利用時間が長い人ほど、雑所得の金額が増加します。
・ 1日5時間の利用 2,000円 × 5時間=1万円
・ 1日1万円で、1月20日間の利用 1万円 × 20日=20万円
・月20万円分の利用を1年間継続した場合 20万円 × 12月=240万円 → 年間の雑所得
給与所得が300万円の人が、雑所得240万円を得たとすると、合計所得金額は540万円です。
給与所得だけの収入であれば、給与所得300万円に対して税金が課されますが、ベビーシッターを利用すると540万円の所得に対しての税金が課されます。
所得税は課税対象金額が大きくなると税率が上がるため、ベビーシッターの助成金を受けた場合には、納める所得税額が増加する可能性が高いです。
雑所得については確定申告をしなければならない
給与所得のみ場合、会社が年末調整を行えば、税務署への手続きは不要です。
しかし雑所得については、会社の年末調整で精算できませんので、自分で確定申告書を作成し、税務署に申告することになります。
なお令和元年分の所得税の申告期限・納期限は、令和2年3月16日です。
申告期限を過ぎた場合には、加算税・延滞税などペナルティが発生する恐れがありますので、忘れずに申告手続きをしてください。(執筆者:平井 拓)