世界経済フォーラム(WEF)がまとめた報告書によると、日本人女性は老後資金が尽きてから平均寿命を全うするまでの期間が最も長いとされています。
20年にも及ぶその期間をどのように乗りきるか、早めの対策が必要です。
今回の記事では、そうした長生きリスクに備えるための行動について解説します。
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目次
長生きリスクは全ての人に共通
人生100年時代といっても何となく自分には関係ないと思っている人は多いかもしれません。
しかし、実際に医療の発展とともに平均寿命は年々伸びており、2018年時点で女性は87.32歳、男性は81.25歳にまで上っています。
がんなどの病気に対する治療法や再生医療技術が開発されてきている現代において、今のミドル世代はさらに長生きするようになると考えられます。
仮に100歳まで生きるとすると、20歳から60歳まで40年間働いたとしても、60歳から100歳までさらに40年間も残ってしまいます。
つまり、
のです。
さらに少子高齢化により年金制度は不安定となり、今の年金世代ほどたくさんはもらえなくなることは目に見えています。
そのため、なるべく
が重要です。
子供世帯との同居が減ってきている今、施設に入ることも考えて、老後にいくらかかるのか計算しておく必要があるのです。
具体的な施設費用などキャッシュフローをどう考えればよいのか分からない場合には、ファイナンシャルプランナーに相談すると安心です。
実際に計算してみて、今の貯金ペースでお金が足りるのかどうか知っておくことで、自分に適した対策がとれるようになります。
歳をとってからでは仕事がない 若いうちは「収入増」が必須
老後資金対策として考えられるのは大きく「収入増」か「支出減」になりますが、そのうち特に「収入増」は若ければ若い程効果が大きくなります。
今のミドル世代が年金をもらう年齢になる頃には、今よりさらに少子高齢化が進んでいると考えられます。
すると同世代で仕事を求める人が多くなり、簡単には仕事を見つけられなくなることが懸念されます。
仕事の収入を増やす
また、健康で体力がある保障もないので、とにかく体力のあるうちに収入を増やしておいた方がリスクを低減できます。
いま
・ フルタイムの場合には副業を増やす
等、健康を損なわないレベルで多少でも収入を増やしておくことが重要です。
節税・運用でお金を増やす
そうはいっても家族との時間を減らしたくない場合や、子供が手のかかる年齢であったり、その他家庭のさまざまな事情で仕事時間を増やせないケースもあるかもしれません。
その場合には、少なくとも
ことが必須と言えます。
仕事によって収入を増やす場合も運用する場合も、やみくもに増やすと疲れてしまうだけなので、あくまで前述のキャッシュフロー計算によって得た不足分を補填するという意識を持ち続けることが重要です。
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年金世代は「支出減」がポイント
いざ年金世代になると、仕事を探すことの難しさに加えて運用でもリスクをとりづらくなるので、大きな収入増を狙うのは難しくなってきます。
そうなると、節約による効果的な支出減が必要です。
が求められます。
また、年齢が進むと新たに家を借りることも難しくなるので、住まいの問題は早めに対処しておく必要があります。
一般的に1度上げた生活レベルを下げるのは難しいとされるので、退職金が出たタイミングなどで生活レベルを不用意に上げてしまわないことにも注意が必要です。
節約の具体的な方法や、どの程度の支出減が必要になるのかについてはケースバイケースなので、ファイナンシャルプランナーからのアドバイスを求めたり、いろいろな方法を試してみて自分に合った方法を探していくしかありません。
将来を見据えて老後貧困リスクに備える
諸外国に比べて平均寿命が長いうえに非正規雇用が多い日本人女性は、老後貧困のリスクが特に高いとされています。
いざその時になってお金が足りないとなると、お世話してくれる人がいなければどうすることもできなくなってしまいます。
早めの準備さえ怠らなければ対応できることは多くあるはずなので、今のうちに将来を見据えておくことが重要です。(執筆者:島村 妃奈)