私の金利動向記事で説明していることですが、変動金利は日本銀行の金融政策、全期間固定金利は長期金利、すなわち世界情勢に左右されます。
そしてリスクオフの流れになった場合、
ことになります。
今回、新型コロナウイルスでWHOが「緊急事態宣言」を出したことにより、世界の株式市場は大きく下落、長期金利も低下しています。
新型コロナウイルスがいつ収束するのかわかりませんが、2月時点の情報をもとに、今後の全期間固定金利の動向を探ります。
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目次
2月の全期間固定金利
2月は世界の株式市場が大きく下落し、長期金利も低下する流れになっていますが、各行の住宅ローン金利はどうなっているのでしょうか。
全期間固定金利のフラット35で見ると、最大手のARUHIで融資比率9割以下、団信加入、借入期間21~35年の2月実効金利は、前月比0.01%上昇の年1.280%となっています。
また、メガバンクなどが独自に提供する、プロパーローンでの全期間固定金利もおおむね横ばいとなっています。
これは、全期間固定金利の算出時期がおおむね前月の長期金利水準を参考にするためで、この時は日本の
と考えられます。
つまり、新型コロナウイルスの影響は2月の全期間固定金利には、ほとんど織り込まれていなかったことになります。
では、3月の全期間固定金利はどうなるのでしょうか。
これは、新型コロナウイルスの影響次第と言えそうです。
新型コロナウイルスがパンデミックとなった場合(少数意見)
新型コロナウイルスがパンデミックとなった場合、まずは人命が第一ですから、世界経済への影響は非常に大きくなります。
特に感染発生地が中国であるだけに、人命への影響が落ち着き、世界経済が回復軌道に乗るにはかなりの時間を要するものと考えられます。
これにより株式市場は世界的に下落、資金が安全な債券市場に大量流入し、世界的に長期金利は低下するでしょう。
日本でも現在の長期金利は再度マイナス圏で推移していますが、この幅が大きくなり、昨年8月並みの水準まで低下するかもしれません。
長期金利の低下を受けて全期間固定金利も低下し、少なくとも半年程度は、今よりも低金利になるものと考えられます。
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新型コロナウイルスの拡散が収束した場合(多数意見)
新型コロナウイルスの感染が落ち着いたとしても、感染発生地が中国ということもあり、世界経済が回復軌道に乗るには時間がかかるでしょう。
しかし、株式市場などは先を見越して動きますので、資金が安全な債券市場に流れ込むのも一時的で、世界的な長期金利の低下が長引くことはないでしょう。
日本のマイナス圏で推移している長期金利も、次第に上昇するものと考えられますが、日本は大規模な金融緩和を継続していることから、戻ったとしても2月の水準までと考えられます。
今回の金利動向は不確実な事項に基づくことが多いため、まずは新型コロナウイルスの動向を注視し、全期間固定金利の実行時期などの参考にしていただければと思います。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)