新型コロナウイルスの感染拡大について連日報道されています。
3月1日午前10時半の時点では、947人の感染が認められています。
政府からも「発熱などの風邪の症状があるときは、会社を休んでいただくよう呼びかけております」と感染拡大防止の行動が示されました。
また、2020年2月26日付で、厚生労働大臣より「労使団体への御協力のお願い」が発表され、こちらも感染拡大防止に向けた協力要請をだしています。
(協力要請の内容)
・ 労働者が発熱などの風邪症状が見られる際に、休みやすい環境の整備
・ テレワークや時差通勤の活用推進
・ お子さんの学校が学級閉鎖になった際に、保護者である労働者が休みやすいように配慮
・ 感染拡大防止の観点から、イベント開催の必要性を改めて検討
厚生労働省 労使団体への御協力のお願い
目次
会社を休んでいる間の所得補償
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仕事を休んだ場合には、給与の面でどうなるのでしょうか。
厚生労働省は「休業中の補償」についても、いくつかの対応を示しています。
先日、「インフルエンザで長期欠勤なら「傷病手当金」を受給できる」でも説明しました「傷病手当金」の申請が可能ですが、場合によっては会社から「休業手当」が支払われる可能性もあります。
一般的な「所得補償」の種類
新型コロナウイルスは、感染症法における指定感染症です。
感染拡大防止のため、
があります。
治療にかかる費用は無料(公費で対応)ですが、現時点で、休業中についての公的な所得補償はありません。
つまり、休んだ分は欠勤控除となり、給与から差し引かれてしまいます。
これを補うために、
・ 4日以上の休業となる場合には、傷病手当金を申請する
・ 会社によっては「特別休暇」の制度を利用する
など、何らかの方法で欠勤控除を避けることになります。
「休業手当」が支払われるケース
どのような場合に「休業手当」が支払われるのでしょうか。
厚生労働省は「新型コロナウイルス感染の疑いがある場合は、(各都道府県に設置されている)「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせください」と案内しています。
そして、「帰国者・接触者相談センター」の結果、感染が確認されなかった(働くことができると判断された)場合でも、
です。
これは、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまるとされるからです。
休業手当の額は、平均賃金の60/100以上となっています。
会社側はどのような対応をすべきか
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会社側としては不可抗力の、感染症により事業を休止せざるを得ない状況(例えば、海外の取引先が新型コロナウイルス感染症を受け事業を休止したことに伴う事業の休止等)で、かつ、休業回避の努力をしても避けられなかった場合には、休業手当の支払義務はありません。
という声が、顧問先からもたくさん聞こえてきます。
可能であれば、テレワーク(自宅でパソコン等を使って仕事を続ける)で対応できるよう、業務内容を整理・検討してみましょう。
労働者人口が減少している今、働き方改革でもテレワークでの働き方を推奨しています。
テレワークが不可能な業種
全ての業種でテレワークが可能ではありません。
そのような場合、特定の業種であれば「雇用調整助成金」の活用が可能です。
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詳しくは、各都道府県の労働局、またはお近くのハローワークへお尋ねください。
今後の政府の所得補償対策に注目
文部科学省から「小、中、高校および特別支援学校等における一斉臨時休業」について通知が出されました。
これに伴い、保護者が仕事を休まなければならない場合でも、政府からの所得補償についての対策は、現時点では打ち出されていません。
しかし、これらも含めて検討する旨は発表されているので、今後の対応に注目したいところです。(執筆者:特定社会保険労務士、AFP 浦辺 里香)