2020年2月にインスタグラムで家計簿のハッシュタグを調べると、51.9万件の投稿を確認できました。
家計簿をつけて、お金の収支をしっかりと管理したいと考える人が増えているようです。

目次
家計簿を継続したい人が増えている
家計簿をつけてお金の管理をしたいと思う人が増えた背景には2019年に話題になった「老後資金2,000万円不足問題」や「消費税増税」など、生活に直結する問題があります。
それ以外にも都内を中心にマンションの販売価格が上昇したり、東京都の統計によると食料品や交通費などの物価上昇も確認できます。
また、2019年10月から始まったキャッシュレス・ポイント還元事業によって電子決済を利用する人が増えました。
これにより、クレジットカードやQRコード決済などお金を支払う選択肢が多くなり、全体でいくら使ったのかを把握することが難しくなっています。
こうした背景もあり、お金を管理しようと家計簿をつける人が増えているようです。
家計簿をつける作業は、個人で淡々と記録する地味な作業といった印象があります。
それがゆえに続けることが難しいとも言えます。
昨今はそのような状況を打破すべく、家計簿継続のモチベーションとして、SNSに家計簿の全部または一部を投稿している人が増えているのです。
SNSで公開するメリット
SNSの投稿を見てみると、ノートにまとめた家計簿を投稿している人やスマホアプリのスクリーンショットを投稿したりなど、さまざまな家計簿の付け方を確認できました。
もちろんすべてを公開している訳ではなく、他人には見せたくない部分の画像は編集で加工し、一部を隠して投稿している人もいました。
続けるためのモチベーションになる
家計簿は誰もが継続して記録したほうがよいと思うのですが、なかなか継続できるものではありません。
実は、SNSに投稿することが継続のモチベーションになるのです。
シェアした家計簿の投稿に対して激励やアドバイスなどのコメントをもらうと、次も家計簿の投稿をしようと頑張ることができるというわけです。
コメントではなくても「いいね」や「スキ」などを押してもらえると、たくさんの人に見られているのだと励みになります。
家計簿の投稿を見てくれている人に情けない結果を見せたくないと思い、実際の浪費を抑えることにもつながります。
家計の相談はリアルな人間関係では難しい
継続してつけているとさまざまなお金の悩みが生まれます。
私の立場からすると、一定程度のお金の知識があるファイナンシャルプランナーに悩みを相談してほしいと思いますが、相談するハードルが高いと感じている人が多いようです。
お金のこととなると身近な人に相談できないのが現実です。
特に友人の集まりなどで収入やローンなどお金の相談をすると噂になる心配もあります。
その点、SNSであれば本名のアカウントを利用しない限り、簡単に個人を特定されることはありません。
お金はかかりますが、家計簿を継続するためのオンラインサロン(ネット上のクローズドなコミュニティ)も存在します。
ネット上の家計簿を頑張る人同士のコミュニティで家計簿をつけるコツなどを共有できるので、より継続しやすくなると言えます。

家計簿をSNSに投稿する際の注意点
家計簿をSNSに投稿して、頑張って続けようと考えている人に2つの注意点があります。
注意点1:資産額はむやみに公開しない
1つめは、資産額はむやみに公開しないことです。
貯金や投資信託などの資産額を公開すると、詐欺グループなどの目にとまるリスクがあります。
直接的な被害はないとは思いますが、お金を持っていることが不特定多数に知られると空き巣や振り込め詐欺などの標的になるかもしれません。
注意点2:レシート情報をそのまま載せない
2つめは、レシート情報をそのまま載せないことです。
SNSに投稿されている家計簿を見ていると、毎日の購入履歴をSNSに投稿している人もいました。
レシートに記載されているお店の名前や住所などをもとに、投稿者の生活圏が推測できてしまいます。
安易に個人の情報を公開しないよう気をつけましょう。(執筆者:FP2級、一級建築施工管理技士 田中 かな太)