新型肺炎の影響で、2月末から株式相場の乱高下が続いています。
日銀および米国FRBが資金供給や利下げなどの金融政策を打ち出し、1番底を打った雰囲気ですが、過去のフラッシュックラッシュ(数日で10%程度の下落が起きること)では1番底だけでV字回復した例はありません。
次の2番底を見てから株式投資を始めても遅くないと思われますが、ではその時に何を買っても値上がりが期待できる訳ではありません。
そこで「買ってはいけない」テーマを、この3月末までに期間を絞って2つご紹介しましょう。
目次
6月頃までは「下がったら買う」のスタンス

株式相場が景気の波でない理由で急落した時は、買い時になることがあります。
新型肺炎は予想もつかない、まさにブラックスワンが飛来した形となりましたが、日本ではアベノミクスが始まった時からの相場上昇局面が維持されており、2003年のSARS危機でもV字回復した経緯があります。
よって6月頃までは「下がったら買う」のスタンスで相場変動に備えていただきたいと思いますが、それでもご紹介するテーマ株には、ご注意ください。
今年の相場の波を考える
今年2020年、株式相場に最も影響力のある政治イベントは米国大統領選挙です。
既に予備選となるスーパーチューズデイも終わり、11月の大統領選挙に向け後半戦となってきましたが、選挙直前になると不確実性が高まり相場は不安定となります。
また日本では7月に東京オリンピックも開催されますが、終了後の景気後退がささやかれています。
それら政治・経済イベントを勘案すると、年後半は荒れ模様の相場展開を想定しています。
よって今年の投資タイミングとしては、6月頃までの前半勝負をお勧めします。
3月までに「買ってはいけない」テーマ株:高配当銘柄
日本では、3月本決算の企業が6割強を占めます。
その企業の権利付き株式の最終取引日は3/27(金)であり、この日に株式を約定または継続保有している人には、配当等の権利が付いてきます。
2019年7月16日より株取引のルールが変更され、購入後2営業日が必要です。
毎年この3月近くになると配当狙いの投資が活発になり、よく言う「高配当銘柄」が買われる傾向があるのですが、今年は「買ってはいけない」と考えています。
ここでは高配当銘柄とは、日経平均採用企業の配当利回り2.3%を上回る銘柄を指します。
今年に入っての新型肺炎による業績の影響は、まだ終息のめども立たず、来期の設備投資計画を立てることすら難しい状況で、業績下方修正に加え高配当を断念する企業が増えてくると予想されます。
全ての高配当銘柄がダメとは言いませんが、高配当銘柄を買うのであれば、「連続増配銘柄」の方が業績下方修正の可能性および配当の不確実性は低くなるでしょう。
3月本決算企業の決算発表は、4月末からGW明けにかけて行われます。そこで株価が急落する、なんてことにもなりかねません。
投資する企業の収益体制や中国への依存度など、配当利回りだけを見て投資することは控えましょう。
中でも株価が下がったことによって高配当となった銘柄は、日産自動車がそうであったように業績下方修正の可能性が高く、最も避けるべき銘柄となります。

3月までに「買ってはいけない」テーマ株:中国依存度の高い業種
3/2に発表されたOECD(経済協力開発機構)の経済成長率見通しでは、中国の成長率は3か月前の予想より▲0.8%の4.9%で、これは中国の国家政策として発表していた経済成長率6%台を、はるかに下回る予想です。
世界経済全体でも▲0.5%の2.4%成長と予想しており、3%未満の低い成長率としています。
これらを先取りして動いている株式相場では、中国依存度の高い業種が1番下落しています。
よってV字回復する際には、最も早い段階から上昇すると思われます。
ただV字回復に着目して取引できる自信のある方はそれで良いと思いますが、そうでない方は中国依存の高い業種は避けておくべきでしょう。
また3月までに絞ると、新型肺炎の影響が見通せない中で底値と判断することは難しいと思われますので、このテーマにかかる銘柄は下手なナンピン買いを回避しましょう。
ちなみに今年に入って下落率が高い業種(=避けた方が良い業種)は、次の通りです。

前述のOECD経済成長見通しでは、日本は▲0.4%の0.2%成長です。
これでオリンピックが延期、中止になったりしたら、目も当てられない状況となります。
まだ買い場の好機は来ると考えていますので、相場の乱高下に一喜一憂せず、大局的に見て2番底での投資タイミングを計りましょう。(執筆者:中野 徹)