2020年1月28日、日本初のP2P保険である「わりかん がん保険」が、発売されました。
しかしP2P保険はまだ世間に浸透していないため、仕組みや民間の保険との違いがわからない人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「わりかん がん保険」について解説していきたいと思います。
目次
「わりかん がん保険」とは

「わりかん がん保険」とは、契約者同士でリスクをわけあうP2P保険です。
もともとP2Pは、端末同士が特定のサーバーを介さずに直接通信することを意味しますが、現在では利用する人々を直接つなぐ仕組み自体を指すこともあります。
仕組みはとても簡単です。
というものです。
そのため、保険金を請求した人の数によって保険料額が変動し、月内で誰もがんにかからなければ0円となります。
「わりかん がん保険」に加入するときは、通常のがん保険と同様に健康状態を告知しなければなりません。
内容は「はい」か「いいえ」で答えられるもので、項目は合計7つです。
保障内容と保険料
保障内容は、がんと診断された場合の診断給付金80万円のみとシンプルです。
保険料は、請求された保険金額と管理費用を足した金額を、保険金を請求しなかった人の数で割って求めます。
また管理費用は、以下のように加入者が多くなるほど割合が低下する仕組みです。
1万人~2万人未満:30%
2万人以上:25%
保険料の試算
仮に、「わりかん がん保険」の契約者が2万人いて、そのうち4人ががんと診断され、
の保険金を支払った場合の保険料を考えてみましょう。
契約者が2万人の場合は、管理費用は、
ですので、1人当たりの保険料は以下のようになります。
= (240万円 + 60万円) / (2万人 – 4人)
= 300万円 / 1万9,996人
= 約150円
「わりかん がん保険」に契約できる人の年齢は20~74歳までで、以下のように年齢に応じて、保険料の上限額が決められています。
40~54歳:990円
55~74歳:3,190円
また、保険料は後払いとなります。
メリットとデメリット

「わりかん がん保険」のメリットとデメリットをまとめると以下の通りです。
メリット
・ 保障内容が分かりやすい
・ 保険料が手ごろ
・ 手数料が開示されている
デメリット
・ 手厚い保障を準備できない
通常の保険は、保険会社に支払っている手数料がわからないため、「支払った保険料が何に使われているのだろう」と不安に感じる人もいます。
「わりかん がん保険」は手数料が開示されており、保険料がどのように使われるかが分かりやすいため、保険料の支払いに対する不安が緩和されると考えられます。
ただし、「わりかん がん保険」は、現在のがん保険で選べるような「再発時も保障される診断給付金」、「抗がん剤や放射線治療を受けた場合の治療給付金」などは選択できません。
「わりかん がん保険」を新しい選択肢に
「わりかん がん保険」は、がんと診断された人の保険金を、ほかの契約者でわりかんして負担するため、保険本来の役割である相互扶助がより明確に体現された保険であると考えられます。
これまでがん保険に加入してこなった人や、がんに対する保障を上乗せしたい人などは、「わりかん がん保険」を検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:品木 彰)