2019年12月に中国・湖北省武漢で確認された「新型コロナウィルス」、2020年2月に入ってから日本国内でも感染が確認され、その患者数は日々更新され続けています。
感染経路が明らかではない感染者が、国内のあちらこちらで見つかっている状態では、やはり不安を拭いきれませんよね。
もし、実際に新型コロナウィルスに感染してしまった場合には、どのような治療が行われ、治療費はいくらくらいかかるのでしょうか。
また、その場合、医療保険はおりるのでしょうか。
詳しく説明します。
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目次
指定感染症は治療費がかからない
新型コロナウィルス感染症を感染症法に基く「指定感染症」と検疫法に基く「検疫感染症」に指定する政令が公布されました。
このことにより、感染者や感染が疑われる人に対する次の措置が可能となりました。
・ 就業制限
・ 公費による診察・検査・治療
つまり、感染した場合の治療費は公費負担となり、個人の負担はありません。
それぞれの事情によって治療できない場合があっては困ると判断されてのことでしょう。
それだけ、国がこの感染症の広がりを抑えたいと思っていることがわかりますね。
参照元:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等の施行について(施行通知)(pdf)」
また、現時点ではまだ有効な治療法が確立されておらず、発熱や咳などに対する対症療法が行われています。
テレビを見ていると重症例ばかりが目立つように思えますが、実際には重症とされた方は少ないとのことで、軽症あるいは無症状で治癒している人の方が圧倒的に多いようです。
民間の医療保険の対象になるのか
新型コロナウィルス感染症では、治療費を支払う必要がないことがわかりました。
では、このような場合に、民間の医療保険は支払われるのでしょうか。
「日額型の医療保険」の場合
です。
診断書はもちろんですが、例えば、病院から発行される「領収書」や「入院計画書」などでも対応できる保険会社が増えています。
この場合に必要なのは「入院の事実・日数」だけで、実際にいくら払ったかどうかは問われないのです。
支払い例「14日間入院し治療を行った」
新型コロナウィルス感染症の場合には、平均入院日数等のデータがまだ不足していますが、「14日間入院し治療を行った」と仮定します。
例えば、以下のような保険に加入していた場合、
・入院一時金:10万円 × 1回 = 10万円
・手術給付金・入院時:20万円 = 20万円(新型コロナウィルス感染症の治療では手術不要のケースが多そうですが、もし何かしらの手術があった場合にはもちろん支払われます)
ただし、「自宅あるいは医療機関以外で待機期間」などは「入院」には含まれません。
※2020年3月時点の情報です。コロナウィルス感染症については日々状況が変化しており、保険会社の対応についても変わる可能性があります。
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「実費型の医療保険」の場合
実際に支払った医療費分が戻ってくるタイプの「実費型」医療保険はどうでしょうか。
多くの実費型医療保険では、「診療報酬点数に応じた自己負担額」を治療費と定めています。
その場合には、今回のように「自己負担額が発生しないもの」は請求できません。
支払っていないものは戻ってこないのです。
ただし、実費型医療保険における「治療費」の定義や、特約の支払い条件などは各保険によって差がありますのでよく確認しておいてください。
「就業不能保険」の場合
ケガや病気による長期入院で受け取ることができる「就業不能保険」は、それぞれの商品によって条件がさまざまです。
保障が大きいタイプ
一般的に大きな保障のものは「指定の状態による30日以上継続の就業不能」や「介護状態」など、条件が厳しいものが多いようです。
万一、コロナウィルス感染症が重症化して「呼吸器の装着」に至った場合などには、条件によっては支払われる可能性がありますが、そうでない場合には難しいでしょう。
お手軽保障のタイプ
保障額が小さめ(100万円以下)のものは、比較的軽度でも受け取れるものが多いようです。
・ 医師の診断により、指定日数(多くは14日以上)「就業不能」だと判断された場合に支払われるもの
「支払い条件・支払い基準」が上記のような保険は、入院や自宅療養の日数条件を満たすことで支払われる可能性があります。
お手持ちの就業不能保険をよく確認しておいてください。
ほとんどの医療保険は「公費負担」を想定していない
です。
そのため、「支払わずに済んだ医療費」に対する支払いは想定外と言えるでしょう。
治療費がかからないとは言え、実際に入院するとなると細々とした出費がかさむものです。
また、感染者自身や家族に対する隔離措置・自宅待機措置など、精神的な負担も大きくなることでしょう。
もらえるものは、もらっておきたいものですよね。
もしも感染が不安な場合には、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」を参考に適切な行動をとるよう心掛けてください。(執筆者:仲村 希)