最近は、元気で若々しい高齢者がたくさんいらっしゃいますが、誰しも老いは必ずやってくるものです。
個人差はあっても、若い時のような筋力や体力はなくなり、怪我もしやすくなります。
場合によっては介護が必要になることもあるでしょう。
今回は、そんな事態を考えたおすすめのリフォームと、その際に利用できる補助金を紹介します。

目次
おすすめ1. 手すりの設置
階段や廊下の「手すり設置」は、最初に挙げられるリフォームでしょう。
特に階段の場合は、法改正があり設置が義務付けられて以降に建てられた住宅には、少なくとも片側には設置されているはずですが、古い住宅には設置されていないこともあります。
老後を考えれば、その手すりの延長や、片側だけではなく両側に欲しいものです。
もしかすると片側の腕の自由がきかなくなることも考えられます。
ただ、元気なころから手すりがあちこちにあると、かえって通路がせまくなるかもしれません。
新築する場合は、後から手すりを設置できるよう、壁の中に下地だけ施工するという方法もあります。
おすすめ2. 段差解消とスロープ利用
最近の住宅はバリアフリーをうたった段差なしのものが多いですが、古い住宅だと家の中に段差があったりします。
玄関ポーチの階段も、車いす利用になるとなかなかやっかいです。
そのようなところは、床を上げる工事やスロープを取り付けるなどして段差を解消しましょう。

おすすめ3. ドアの開き勝手やハンドルの変更
車いす等の場合は、ドアは引き戸が使いやすいです。
また、ハンドルも握って回すノブよりもレバー式の方が弱い力で操作できます。
特にトイレのドアは、内開きであれば交換しましょう。
トイレの中でもし倒れた時、その倒れた人が妨げになってドアが開かなくなるからです。
できれば引き戸、構造や間取り上不可能であればせめて外開きのドアにします。
狭くて外開きのドアが取り付けられない場合は、折れ戸タイプのドアもあります。
おすすめ4. 廊下、特にクランク部の広さを確保
昔ながらの一間(182cm)いわゆる尺モジュールと呼ばれる単位で建てられた家は、廊下幅が壁の中心間(91cm)で車いすではせまく、クランク部は曲がるのが難しいです。
可能であれば思い切って壁の位置を変えたり間取り変更したりして、要介護者の行動範囲だけは広めの通路にしたいものです。
おすすめ5. 浴室や窓の断熱
特に高齢者に多いヒートショックは、家の中の大きな温度差によるものです。
家の熱が失われるのは、窓面の断熱が大きく関わります。
古いサッシの家であれば、断熱性能の高い窓に交換、もしくは後付けの2重窓を設置するのもいいでしょう。
ヒートショックが特に多い浴室のリフォームもおすすめです。
浴室でヒートショックを起こすと、そのまま溺死につながる危険性が高いからです。
リフォームに利用できる補助金制度もある

ところで、リフォームに使える補助金制度があるのをご存じでしょうか。
特に、介護保険で要支援や要介護の認定を受けている人のためにリフォームをする場合は、介護保険の住宅改修補助金が受けられます。
改修の種類は
・ 段差の解消
・ 滑りの防止および移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
・ 引き戸等への扉の取替え
・ 洋式便器等への便器の取替え
・ その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
となっており、玄関から道路までの屋外に関しても、手すり取り付け・段差解消・床材変更が対象になります。
支給額は住宅改修費の9割までで、支給限度基準額が20万円なので、その9割の18万円までが最高となります。
ひとりにつき20万円までが支給限度基準額ですが、要介護状態区分が3段階上昇した場合と引っ越した場合は、再度受けることが可能です。
この補助金を受けるためには手続きが必要で、ケアマネージャーが記入するものもあるので、最初にケアマネージャーに相談してください。
参考元:厚生労働省(pdf)
また、自治体ごとに独自のバリアフリー工事推進の補助金を設けているところがたくさんあります。
要介護認定がない人でも利用できるものがありますので、お住まいの自治体にもないか調べてみてください。
人気の中古マンションもリフォーム
このところ、新築マンション価格が高くなり、中古マンション市場が盛り上がっているようです。
マンションであっても、ラーメン構造と呼ばれる柱と梁で成立する構造の建物であれば、壁を取り払うことができます。
新しいマンション購入が無理で中古にしようと考えているひとは、中古で費用を抑え暮らしやすい間取りにリフォームするのもいいです。(執筆者:枝本 幸)