新型コロナウイルスによる世界経済への悪影響を抑えるため、米などが0.5%の緊急利下げに踏み切りました。
ただ依然としてどこまで悪影響を及ぼすのか不透明な部分もあり、株価は乱高下、米長期金利は過去最低水準まで低下しました。
日本でも長期金利が低下しており、今後しばらく、長期金利はマイナス金利での推移となりそうです。
今回は世界的な金利低下の流れを踏まえ、今後の住宅ローン全期間固定金利の動向を解説していきます。

目次
世界各国が緊急利下げも効果は限定的
新型コロナウイルスの感染者が世界各国に広がるにつれて、世界の市場でも新型コロナウイルスが、世界経済に与える悪影響を懸念するようになりました。
そして今まで堅調を保っていた米の株価も、乱高下を繰り返す不安定な値動きとなり、不安定度を示すVIX指数も急上昇しています。
これらの動きを受けてG7は緊急の声明を発表、「あらゆる措置を取る」と市場を牽制しましたが動揺は収まらず、3月3日に米は0.5%の緊急利下げを行いました。
この措置は2008年10月以来の思い切ったものでしたが、市場はさらなる利下げを要求している状況で、緊急利下げの効果は限定的となりました。
日本は利下げ余地がないのが致命的
このような対策は金融当局による意志として、市場が不安定な時にはある程度の効果がありますが、マイナス金利を続けている日本には利下げ余地がありません。
日本では新型コロナウイルスによる影響がより深刻なだけに、金融当局は何らかの手を打ちたい所ですが、最悪のタイミングで新型コロナウイルスに感染してしまったようです。
現在の所は、日銀総裁が「市場安定に努める」という声明文を発表しただけで、それ以上の具体策は打ち出せていません。
住宅ローン全期間固定金利は4月から低下予想

住宅ローン全期間固定金利は長期金利に連動しますが、より厳密には、期間が同程度の30年国債の利回りが参考指標としています。
3月の住宅ローン全期間固定金利は、三井住友銀行が前月比年0.07%低下の年1.59%、フラット35の最低金利は前月比年0.01%上昇の年1.24%(団信あり、21~35年)となりました。
メガバンクとフラット35でまちまちの金利設定となっています。
これは30年国債の利回りが指標となる2月下旬から低下したため、フラット35には織り込まれていないためと考えられます。
一方、2月下旬から30年国債の利回りも低下し、長期金利もマイナス圏で推移しているため、3月を指標とする4月の全期間固定金利は低下する可能性が高いと考えられます。
全期間固定金利は当面過去最低水準で推移か
新型コロナウイルスによる悪影響が収束しない限り、株価は不安定な値動きを続け、長期金利もマイナス金利の状態が続きそうです。
中国からの資材などの到着が遅延し、肝心の住宅が完成しない悪影響が気になりますが、全期間固定金利を利用するには最適な時期と言えそうです。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)