平成29日1月1日の法改正により、65歳以上の労働者も雇用保険に加入できるようになりました。
経過措置として、保険年度の初日(4月1日)において満64才以上である労働者であって、雇用保険の一般被保険者となっている方の雇用保険料は、2020年3月末まで免除されていました。
4月1日から経過措置は終了し、今までかかっていなかった雇用保険料が徴収されますので、注意してください。

目次
「高年齢継続被保険者」から「高年齢被保険者」に名称変更
平成28日12月31日までは、雇用保険に加入している65歳以上の方というのは、次の要件を満たしている場合だけでした。
・ 65歳以降も継続して雇用保険に加入していること
法改正前は、65歳以上の被保険者のことを「高年齢継続被保険者」と呼んでいました。
平成29日1月1日から雇用保険が適用拡大され、65歳以上の労働者について
・ 31日以上の雇用見込みがあること
の加入要件を満たせば加入できるようになりました。
これに伴い、65歳以上の雇用保険加入者を「高年齢被保険者」と名称が変更されました。
雇用保険料免除措置がスタート
法改正が行われ、経過措置として、保険年度の初日(4月1日)において満64才以上である労働者であって、雇用保険の一般被保険者となっている方の雇用保険料は、2020年3月末まで免除されることになりました。
高年齢被保険者になると何がお得なのか
「基本手当」とは、離職し、失業中の生活を心配しないで1日も早く再就職するために受給されるもので、いわゆる失業保険と呼ばれているものです。
65歳以上の方も、名称は違いますが「高年齢求職者給付金」という手当を受給できます。
法改正前は、65歳以上の方は雇用保険に加入できなかったため、1回しか受給できませんでした。
法改正後は、
ことになり、それが最大のメリットです。
また、育児休業や介護休業を新たに開始する場合にも、要件を満たせば育児休業給付金、介護休業給付金の支給対象となります。

高年齢求職者給付金の受給要件
高年齢求職者給付金の支給を受けるためには、次の要件をすべて満たしている必要があります。
・ 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上あること
・ 失業の状態にあること
失業とは、積極的に就職しようとする意思と、健康上及び環境上いつでも就職できる能力がありながらも職業につくことができず、現在仕事を探している状態にあることをいいます。
病気やケガのためにすぐに就職することができない人や既に次の就職先が決まっている人などは支給を受けることはできません。
高年齢求職者給付金は、一時金にて支給
高年齢求職者給付金は、失業認定を行った日に支給決定され、失業認定は1回限りです。
受給できる額は被保険者であった期間によって違ってきます。
・ 被保険者であった期間が1年未満の場合:基本手当日額の30日分
一般の受給資格者とは異なり、一時金にて支給します。
基本手当日額は、
で、賃金の低い方ほど高い率となっています。
雇用保険の加入要件を満たす職を探すのもあり
4月からは雇用保険料が徴収されるようになりますが、一般の事業の労働者負担額は0.3%です。
20万円の給与であれば、個人負担額は600円です。
少額の保険料負担で、離職した場合に基本手当日額の30日分や50日分を受給することができる可能性があるのです。
仕事を探す時に、雇用保険の加入要件である1週間の所定労働時間が20時間以上である長期の仕事に就くということを視野に入れるのもよいのではないでしょうか。(執筆者:社会保険労務士、2級FP技能士 望月 葵)