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お布施、お車代、お膳料の違いを確認
葬儀や法事の時には寺院に「お布施」を渡しますが、それとは別に「お車代」や「お膳料」を包むのをご存じですか。
お布施とは、寺院へのお礼のことです。
葬儀や法事における読経や授戒(戒名を授けること)などの宗教行為に対してお布施が手渡されます。
この「お布施」に添えて手渡されるのが「お車代」や「お膳料」です。
お車代は文字通り寺院の交通費です。
お寺から会館までの往復の交通費をある程度割り出して、お車代を用意します。
またお膳料も、お寺にもてなす料理の代わりに包みます。
こうしたお車代やお膳料は、あくまでも喪主や施主の「気持ち」のものなので、必ず用意しなければならないというものではありません。
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お車代の本来の意味
寺院を迎える最も丁寧な方法は、遺族や親族がお寺まで迎えに上がる、あるいはタクシーやハイヤーなどを配車するというものでしょう。
しかしそこまで丁重な対応をする人はあまり多くいません。
一般常識では、寺院が自家用車や交通機関を利用するにあたり、移動のためにかかったであろう費用をもとに区切りのいい金額を包んでお車代とします。
まれに、遠方の寺院を迎えることがありますが、この時には、高速道路や新幹線などの料金も頭に入れて、お車代を準備しましょう。
葬儀や法事をお寺の本堂で行うために、寺院の移動がない場合は、お車代は不要です。
お膳料の本来の意味
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お膳料とは寺院に包む食事の費用です。
葬儀や法事のあとは、遺族や親族と一緒に寺院も食事を囲むのがならわしでしたが、最近では寺院は同席せず、お膳料として費用を包むのが一般的です。
もちろん、食事の席に同席するかどうかは家族と寺院との関係性によりますので、「ぜひ一緒に」と思われるのであれば誘っても構いません。
日本の民俗では「神人共食」という言葉があります。
これは神仏やご先祖様へのお供え物のおさがりを、その場に居合わせたものがともに食べることです。
神仏にささげたものを食べ、神仏を囲んでその場に集まったもの同志が飲食することで共同体のつながりを強固にしました。
寺院はそんな神仏と人をつなぐ役割を担っています。
通夜や葬儀や法事のあとに食事を囲むのは、家族や親族のつながりをより強いものにするための風習なのかもしれません。
お車代やお膳料の費用相場
お車代の費用相場は、寺院が近隣(同一市内)などであれば、5,000円から1万円くらいでしょう。
また、お膳料の費用相場は5,000円くらいです。
家族や親族が食べる食事の1人当たりの費用を目安にすればよいでしょう。
それぞれお布施とは異なるので、白無地の袋に「お車代」、「お膳料」と書いて包みましょう。(執筆者:五十嵐 信博)