住宅ローンを使って不動産投資をすれば、金利も安いし、融資期間も長く取れるので成功しやすいと思う方は多いと思います。
しかし、2019年には長期固定金利のフラット35を使った不動産投資が問題となり、先日、住宅支援機構が当事者に一括返済を要求し始めたというニュースが報道されました。
今回は、なぜ住宅ローンを使った不動産投資がダメなのかについてお話しします。
目次
住宅ローンで不動産投資はNG

住宅ローンは、その名の通り、居住用の住宅を買うためのローンなので自己使用が前提です。
そのため、賃貸目的で購入することは住宅ローン使用の目的に外れることから利用できません。
銀行などの金融機関も居住用として購入する場合には、
・ 物件を担保に取れる
・ 団体信用保険に加入させることでリスクを回避できる
といった理由から、安い金利で長期融資もしてくれるわけです。
対して、不動産投資向けのアパートローンなどは、賃貸経営という事業に対して融資を行います。
そのため個人の属性以外にも、事業がうまくいくかどうかが審査の対象となり、それだけ審査も厳しくなるのです。
住宅ローンで不動産投資を行うことは、正当な審査を受けずにローンを組むことになり、金融機関をだます行為なのでNGということです。
住宅ローンで不動産投資が可能なケース
もともと居住用として住むために住宅ローンを借りても、転勤でその家を離れなければならないケースもあります。
こういった場合には、住宅ローンの返済さえきちんと行っていれば、金融機関から一括返済を請求されるケースはほとんどありません。
厳密にいうと契約違反ですが、この辺りはグレーゾーンになのです。
住宅ローンで不動産投資をしている方の多くは、こういった「やむを得ない事情で家を離れないといけない」ケースです。
しかし、フラット35が不動産投資に悪用されたケースでは、当初から賃貸目的で不動産を購入しています。
この場合でもきちんとローンの返済をしていればバレなかったわけですが、
「賃貸はすぐ決まるから大丈夫」
などとだまされて物件を購入させられ、実際には家賃が入らずに返済が滞ってしまったことで問題が発覚しています。
今回の問題により、
があります。
住宅ローンで不動産投資は実際には儲からない

今回のフラット35が不動産投資に悪用されたケースでは、同じ物件を収益物件として購入するよりもかなり高い価格で買わされています。
そのため、いくら金利が安く長期間融資を受けることができても、実際に手元に残るお金はマイナスといったケースも多く、ほとんど儲けはなかったはずです。
賃貸がついていたとしても、いずれは破綻することが目に見えていたと言えます。
ある記事では、2倍近い価格で買わされ、サブリースも早々に解約・減額されて破綻してしまったケースもあったようです。
収益物件より居住用物件の方が価格が高い
実際に、同じ物件を収益物件として売る場合と居住用で売る場合を比較すると、ほどんどの物件において居住用の方が価格が2割~3割以上高いと言えます。
この背景には、投資家は利回りで物件を選び、住宅ローンより高い金利でローンを組まないといけないので、どうしても要求する価格は低くなるという事情があるのです。
住宅ローンで物件を購入する際には、居住用として物件を買うことになるので、適正な価格で購入したとしても収益物件として貸すと意外に儲からないというケースが多いのです。
住宅ローンで不動産投資を行うことは、
・ 実際には思っているほど儲からない
ので、不動産会社から勧誘を受けても絶対に断るようにしてください。(執筆者:山口 智也)