年度の区切りとなる3月に、これまで働いてきた職場を退職した方も多いでしょう。
事業主となる企業は従業員の退職に伴ってさまざまな手続きを行いますが、その中のひとつに「雇用保険の離職票」があります。
離職票は、事業主から提出される雇用保険被保険者離職証明書に基づいてハローワークが発行する書類です。
退職後は健康保険や国民年金の変更手続きなど慌ただしい時ですが、離職票は雇用保険の基本手当を受給するために大変重要な書類です。
郵送で手元に届いたら、しっかりと記載内容を確認しましょう。
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目次
離職票が届いたら3つの記載内容を確認
離職票は勤務先を退職した後に交付されるので、退職手続きを業務のひとつとしている総務に携わっていない限り見慣れない書類です。
参照元:ハローワーク「雇用保険被保険者離職票-1(pdf)」、「雇用保険被保険者離職票-2(pdf)」
しかし離職票は、失業中の生活を支えるための
・ 受給期間
・ 給付制限期間の有無
などを審査するために必要な情報が記載されています。
特に、次の3つの記載内容はハローワークに行く前にしっかり確認するようにしましょう。
チェックポイント1:離職理由
まず離職票の右半分を占めている「離職理由」は、チェックがついている項目と実際の退職理由が合っているかどうか確認します。
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例えば、離職理由が会社都合によるものであるにもかかわらず、「自己都合による退職」となっている場合があるかもしれません。
会社都合退職の場合、本来であれば給付制限期間がない特定受給資格者として判断されますが、「自己都合による退職」となると3か月間の給付制限期間が設けられてしまうからです。
基本手当を受給するタイミングが大きく変わるため、離職した理由に関して、事実との相違がないかしっかりと確認することが大切です。
チェックポイント2:被保険者期間算定対象期間と基礎日数
「被保険者算定期間」は、退職直前2年間のうち被保険者期間だった12か月分の期間が記載されています。
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基本的に、各月1日 ~ 末日単位での記載です。
該当する月が漏れることなく記載されているか確認しましょう。
また、期間算定対象期間の右側にある「基礎日数」の欄には、被保険者期間算定対象期間における賃金支払いの対象となった日数が記載されています。
1か月の全日数
【日給制や時給制の非正規、パート、アルバイトの場合】
実際に働いた日数に有給休暇日数を加算した日数
非正規やパート、アルバイトとして勤務していた場合は、有給休暇日数を加えた実働日数に間違いがないかチェックしておくとよいでしょう。
チェックポイント3:賃金支払対象期間と賃金額
「賃金支払対象期間」の区切りは給料起算日から締日ごとに1か月分となっており、被保険者期間算定対象期間とは異なって、必ずしも1日から末日までとは限りません。
退職月直前6か月間の賃金支払対象期間が記載されています。
また、賃金支払対象期間の右欄には、各賃金支払対象月の出勤日数、または実働日数と賃金額が記載されています。
ただし、給料締日よりも前に退職した月は1か月分としてカウントしないので、賃金支払対象期間と賃金額を確認するときには注意が必要です。
給与支給額が明記されている過去6か月分の給与明細書を見ながら、離職票に記載された対象期間と該当月の賃金額に間違いがないか確認をしておきましょう
。
事実と異なる場合はハローワークで相談を
もし手元に届いた離職票に記載された離職理由や賃金額、対象期間に事実と異なる記載がある場合は、ハローワークの窓口で相談してみるとよいでしょう。
特に記載されている離職理由について本人の主張と異なる場合は、ハローワークから発行した事業主へ事実確認の連絡をしてくれる場合があります。
事実に即した離職票をもとに適正に失業手当を受給するためにも、手元に届いた離職票はハローワークに提出する前に確認することが大切です。
記載内容に間違いがなければ、そのままハローワークで求職手続きと失業保険受給の手続きを速やかに進めていきましょう。(執筆者:花見 結衣)