国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者がいます。
国民年金の第1号被保険者とは、第2号・第3号被保険者ではない人、たとえばフリーランスや自営業者、はたまた失業して無職の人などです。
第2号被保険者とは、会社員や公務員など、勤め先で厚生年金保険に加入している人を指します。
第3号被保険者とは、第2号被保険者に扶養されている人、たとえば専業主婦や専業主夫などです。
年金保険料について言えば、第2号被保険者は給料から天引きされて、勤め先がまとめて納付してくれます。
第3号被保険者は、そもそも年金保険料を納付する必要がありません。
いっぽう、第1号被保険者は自分で国民年金保険料を納めなくてはいけません。
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目次
国民年金保険料の納め方
国民年金保険料は、1か月分ごとに納めるのが基本です。
ですが、国民年金には前納割引制度が設けられています。
一定期間分の国民年金保険料をまとめて前払いすることで、割引というメリットが受けられるお得な制度です。
次の4種類にわかれています。
2. 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)
3. 国民年金前納割引制度(口座振替 早割)
4. 国民年金保険料の「2年前納」制度
お得な前納割引制度
制度によっては、まとめて前払いする期間や納付の方法を選べます。
順番に見ていきましょう。
1. 国民年金前納割引制度(口座振替 前納)
(2) 1年前納(4月~翌年3月分)
(3) 6か月前納(4月~9月分、10月~翌年3月分)
(4) 当月末振替(早割)
(5) 翌月末振替
あらかじめ口座振替の申し出をして、金融機関から口座振替で納める方法です。
令和2年度について言うと、1か月分ごとに納める場合と比べて、以下の金額が割引され、お得になります。
・ 1年前納 → 1年間で4,160円
・ 6か月前納 → 6か月で1,130円
・ 当月末振替(早割) → 1か月で50円
翌月末振替は、国民年金保険料の割引は受けられません。
2. 国民年金前納割引制度(現金払い 前納)
(2) 1年前納(4月~翌年3月分)
(3) 6か月前納(4月~9月分、10月~翌年3月分)
金融機関の窓口やコンビニエンスストアなどで、現金で国民年金保険料を納める方法です。
「現金払い」と言いつつ、ATMやインターネットバンキングなどの電子納付で国民年金保険料を納められまs。
令和2年度について言うと、1か月分ごとに納める場合と比べて、以下の金額が割引され、お得になります。
・ 1年前納 → 1年間で3,520円
・ 6か月前納 → 6か月で810円
3. 国民年金前納割引制度 口座振替 早割
毎月の保険料を早割で、口座振替で納める方法です。
「早割」とは、毎月、本来の納付期限よりも1か月早く、国民年金保険料を納めることを言います。
「まとめて前払い」ではありませんが、割引は受けられます。
毎月の国民年金保険料が50円割引されるので、1年間で600円お得になります。
4. 国民年金保険料の「2年前納」制度
その名のとおり、2年分の国民年金保険料をまとめて前払いして納める方法です。
納付の方法は、口座振替、現金払い、クレジットカード納付から選べます。
クレジットカードなら、カードの利用ポイントがつきますので、さらにお得です。
1か月分ごとに納める場合と比べて、2年間でおよそ1万5,000円お得になります。
厚生年金に加入したら返金されます
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国民年金保険料を前払いしたあと、就職して厚生年金に加入するケースも考えられるでしょう。
厚生年金保険料は、毎月の給与から差し引かれますので、国民年金保険料をすでに支払った期間については、年金保険料を二重に納めることになってしまいます。
この場合、前払いした国民年金保険料は、
してもらえます。
自分で還付の請求をしなくてはいけませんが、難しい処理ではないので心配無用です。
手続き方法
年金に関するデータは、年金事務所で管理されています。
厚生年金の加入手続きが済めば、年金事務所から「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」が送られてきます。
これに、振込口座などの必要事項を記入して、送り返すだけです。
あとは、前払いした国民年金保険料が戻ってくるのを待ちましょう。
未納はデメリットをもたらす
どうせ払わなければいけない国民年金保険料なら、前納割引制度を活用して、割引というメリットを受け取らない手はありません。
なかには「割引された保険料であっても、いまの懐具合では厳しい」という人もいるでしょう。
そういうときは、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を使うことをおすすめします。
国民年金保険料を未納のままほったらかしておくと、あとあとデメリットが生じるかもしれません。
たとえば、将来もらえる老齢基礎年金の金額が減ったり、障害基礎年金・遺族基礎年金がもらえなくなったりするおそれがあります。
最悪の場合、財産の差し押さえをされることもあります。
免除や納付猶予の申請をしておけば、「追納」という形で、国民年金保険料の後払いができます。
国民年金制度のメリット・デメリットを理解したうえで、賢く国民年金保険料を納めましょう。(執筆者:社会保険労務士 嵯峨 朝子)