供養の多様化と言われながらも、未だ根強い人気を誇るのがお墓です。
納骨堂や樹木葬が選ばれ始めているとはいえ、現代においても、埋葬と石塔、つまりは土と石による供養を多くの日本人が選んでいる、ということです。
お墓は墓地や霊園に建てますが、
・ 墓地の経営は限られた団体でしかできない
ことなど、墓地についてあまり知られていないことがたくさんあります。
この記事では、民営霊園ビジネスについて、お金の流れもふくめてわかりやすく解説いたします。
目次
墓地や霊園4つのタイプ

まずはじめに、墓地や霊園は次の4つの種類に分けられます。
(2) 民営霊園:宗教法人が運営し、民間業者が販売や施工などの実務を請け負う霊園
(3) 寺院墓地:寺院が管理する境内にある墓地
(4) 共同墓地:自治会などで管理する墓地
この記事で取り上げるのは、(2)の民営霊園と(3)の寺院墓地についてです。
両者は、宗教法人である寺院と、開発業者や石材店などの民間業者が手を組んで運営しています。
民間企業は霊園の経営ができない
「墓地、埋葬などに関する法律」は、
と決められています。
お墓は私たちの暮らしにとって大切な、公共インフラのような役目を担っています。
公益性や非営利性の観点から、営利目的の民間企業による経営がふさわしくないと判断しているのです。
民営霊園の現状
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しかし実際には、多くの民営霊園では民間業者も墓地の経営に携わっています。
霊園の開発には多額な費用がかかる上に、自分たちでは直接霊園の経営はできません。
このような状況下で、それでも霊園を開発したい民間業者は、墓地経営の資格を持つ宗教法人と手を組みます。
費用を出資する民間業者と宗教法人が手を組んで、霊園開発に乗り出すのです。
先行投資をした分は必ず回収しなければなりません。
墓地代を宗教法人の、そこに建てられる墓石代を業者の収入とするのが一般的です。
収益割り振りの例
たとえば100万円の墓地墓石セットがあったとします。
このうちの50万円が墓地代で50万円が墓石代としたら、それぞれを宗教法人と業者の収益とするのです。
このあたりのパワーバランスはお寺と業者との関係性にもよります。
お寺主導で集客して、施工を石材店に任せるケースもあれば、集客の段階で業者がしっかりとマーケティングして、販売施工までを進めてしまうスタイルもあります。
民営霊園の特徴を知って墓地選びを
民営霊園は、利用者のニーズに応えた良い場所が多いのですが、先行投資分を回収しなければならないために若干費用は高めで、石材店が決められているという難点があります。
これらを参考に、墓地選びをしてみてください。(執筆者:五十嵐 信博)