家計の見直しの際の一例で保険費用の見直しについて前回1部記載しました。
保険の毎月の出費は高額になりやすく、不要な保障をつけ無駄な出費にもなります。
そこで今回は、保険に加入・見直しする際の考え方について記載します。
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目次
ステップ1:保険に加入する目的
保険に加入するのが必要かどうか、加入するのにどの保険に加入するべきかを決めるには、保険加入の目的をはっきりさせる必要があります。
大きく分ければ、「家族のための保障」か「自分のための保障」です。
「家族のための保障」で代表的なのは、世帯主に万が一のことがあった場合の生活費です。
また、「自分のための保障」としては、病気やけがをしたときの治療・入院・手術等の費用です。
この点、独身の方であれば、家族のための保障は必ずしも必要ないと考え、老後生活に入る方で年金と貯蓄で生活できるという場合も不要と考えられると思います。
教育費や老後生活資金について
保険に加入する目的として、教育費や老後生活資金のためにも保険は必要である、という考え方もあります。
もちろん、このような目的に合った保険商品もなくはないですが、教育費や老後生活資金を計画的な貯蓄や資産運用で賄うことも可能です。
保険は、本来資産を増やすために用いるものではなく、資産を増やしても対処できるかわからないリスクに備えるためのものです。
ですので、教育費や老後生活資金にための保険への加入をされる場合は他の手段もないかを検討した上で、加入の検討を始める方がよいでしょう。
ステップ2:想定するリスクが顕在化したときの必要保障額を考える
次に、想定するリスクが顕在化したときの必要保障額を計算する必要があります。
もちろん、正確な金額は計算できませんので、大まかな金額の計算で差し支えありません。
具体的には以下の通りです。
想定するリスクが顕在化したときにかかるお金
想定するリスクの幅は広いですが、そのリスクが家族にとってのものなのか、本人にとってのものなのかによって考えるポイントが異なってきます。
以下、場合に分けて記載します。
世帯主に万が一のことがあった場合
世帯主に万が一のことがあった場合に必要になる具体的な費用は、配偶者と子どもの生活費、お子さんの教育費の2つです。
この点、子どもが独立するまでは現在の生活費の70%、独立後は現在の生活費の50%が目安になります。
教育費の目安については一般的な統計が参考になります。
その統計については以下の過去記事をご参照ください。
本人の病気やけが等の場合
病気やけがをしたときの治療・入院・手術等の費用については、一般的にかかる費用の見積もりは難しいです。
しかし、年代ごとにそのリスクが高まっていくため、年代の節目ごとに、後述するもらえるお金を加味しながら考えるのがポイントです。
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想定するリスクが顕在化したときにもらえるお金
リスクが顕在化したときは、公的保険からお金がもらえるケースも多々あります。
ここを知らずに不要な保険に加入したり、必要であっても不相当に高額な保険に加入するといったケースが発生しがちです。
視点としては主に以下の2点です。
世帯主に万が一のことがあった場合
公的保険から遺族年金が支給されます。
また、世帯主が会社員であれば、勤務先からの退職金や見舞金も支給される場合があります。
さらに、もらえるお金というと不謹慎かもしれませんが、世帯主個人で保有している資産などがあれば、それもその部類に入ります。
本人の病気やけが等の場合
会社員の方であれば、健康保険から傷病手当金が支給されます。
さらに、その病気やけがが原因で障害が残った場合、要件を満たせば、障害年金も支給されます。
会社員の方でない場合は、障害年金は支給されますが、傷病手当金は支給されません。
会社員の方とそうでない方とで、必要な保障金額は異なってくる点は注意点です。
また、医療費に関しては高額療養費制度により支払金額に上限金額が設けられていますので、ここも合わせて確認しておくとよいでしょう。
ステップ3:目的に合った保険を選ぶ
ここまで検討すれば、そこまで保障が必要ではない、貯蓄や資産運用で賄えるケースもあるでしょう。
そのときは、無理して保険に加入する必要はありません。
保険加入の目的とおおまかな必要金額が決まったら、その目的に合った保険のタイプを選びます。
「家族のための保障」、「自分のための保障」いずれにもさまざまな種類がありますが、ここまで考えれば、不要な保険に加入しないで済みます。
無駄な支出にならないように
保険は何となく加入しがちで加入する前の検討ポイントについて知る機会がないと思います。
その分、無駄な支出になりやすいので、上記のポイントを中心に保険の新規加入や見直しを検討されている方はぜひ1度考えてみてください。(執筆者:佐藤 彰)