普段は病気やケガをすることを前提に家計の支出予算を立てることはありませんが、突然の病気やケガで入院や手術をすることになったときは予想外の医療費がかかることになります。
高額な医療費の支払いは、家計の大きな負担になりかねません。
家計の負担を軽くするためにも、高額な医療費がかかることがわかった時点で「限度額適用認定証」を取得しておきましょう。
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3割の自己負担でも安くない医療費
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日本では、国民健康保険、もしくは健康保険などの公的保険に必ず加入していることが前提となります。
そして医療機関を利用した場合は、基本的に医療費の3割が自己負担、残りの7割は公費で負担されています。
しかし、診療報酬改定を受けて、基本診療料や一般病棟入院基本料をはじめ、差額ベッド代、食事代なども値上がりをしているため医療費は上昇傾向にあります。
特に差額ベッド代や食事代は入院期間によって大きく変わり、自己負担額が3割であっても入院や手術にかかる医療費は決して安くはないのです。
退院時の請求額に驚くケースも多い
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病院に入院するときは、入院準備やその他の手続きでなにかと慌ただしくなります。
病院からは1日の差額ベッド代や個室代、1食の食事代は知らされますが、病気の経過を見ながら変わっていく治療費用までは入院した時点ではわかりません。
そのため、
・ 手術
・ 治療
・ 投薬
にかかった費用、そして,
・ 個室代
・ 食事代
などを含めた請求額は、退院日が決まったあと、もしくは退院時に初めてわかることも少なくないのです。
筆者も、手術のために数週間の入院した経験があります。
順調に回復し、予定どおり退院が決まりましたが、退院直前に病院の会計から入院費用などの請求額を知らされた時は高額な請求額に驚いた経験があります。
入院・手術の決定後は早急に「限度額適用認定証」を申請
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手術が予定されている入院はもちろん、急に入院が決まったときなど、これから高額な医療費がかかることがわかっている場合は、早めに限度額適用認定証の申請手続きを進めましょう。
病院の窓口で支払う医療費が自己負担限度額までとなり、退院後に、医療費の払い戻しをしてくれる高額療養費の申請も不要になります。
申請ステップ(1)
手術や入院が決まったら、「健康保険限度額適用認定申請書」に必要事項を記入、捺印(なついん)をした後に加入している健康保険に郵送で提出します。
申請ステップ(2)
加入している申請書に記入した送付先に、限度額適用認定証が郵送で届きます。
認定申請書の入手方法や郵送先は加入している健康保険によって異なるため、必ず加入している健康保険(市区町村役場または協会けんぽまたは組合健保)に問い合わせるようにしましょう。
「自己負担限度額」以下で家計への負担軽減
限度額適用認定証を退院までに病院の窓口に提示しておくと、退院時に支払う医療費が限度額以下に抑えられるので、家計の負担が一気に軽くなります。
また、限度額適用認定証を申請するときに、手術や入院、療養によって就業できない状態の場合は、健康保険に加入している方は「傷病手当金」の申請も忘れずに手続きしておくとよいでしょう。
傷病によって収入が減少した場合は、条件によって給与の6割程度の傷病手当金から支給された給与分を差し引いた額の傷病手当金を受け取ることができます。
経済的にも精神的にも安心して療養をするためにも、限度額適用認定証と傷病手当金を利用して、入院にかかる費用を万全に備えておくことが大切です。(執筆者:花見 結衣 監修:社会保険労務士 拝野 洋子)