人生100年時代の今、長い就労期間を生き抜くために社会人になってからも知識や技術を学び直す活動に注目が集まっています。
今回の記事では、働きながら学び直しをする時に使えるお得な制度を紹介します。
目次
資格取得費用の補填「教育訓練給付制度」
中長期的なキャリア形成と雇用の安定を促進するため、厚生労働省により実施されている補助金の1つに「教育訓練給付制度」があります。
いくつかの制度があるうち、雇用保険に1年以上加入していれば誰でも幅広く使えるのが「一般教育訓練給付金」です。
一般教育訓練給付金

「一般教育訓練給付金」とは、上限を10万円として、資格や技術の習得にかかった受講料や入学金などの費用のうち20%にあたる金額が給付されるというものです。
簿記検定や自動車免許など幅広い資格や技術の習得費用に充てる事ができます。
本制度を過去に1度利用した事がある人でも、3年経過すれば再度給付を受けることができます。
失業中でも前職を退職した後1年以内であれば利用できるので、転職にあわせたスキルアップでも使えます。
さらに、平成30年の改正により、
・ 現在子供が18歳未満
の2点に該当すれば受給資格が最大20年まで延長されることとなったため、専業主婦などでも利用できるケースが増えました。
講座修了日の翌日から1か月以内にハローワークで申請する必要があるので、期日を遅れないように注意が必要です。
専門実践教育訓練給付金
また、実践・専門的な資格として指定された特定の講座については受講料の50%が支給される「専門実践教育訓練給付金」という制度もあります。
この制度では、指定の資格取得後就職が決定した、または既に雇用されている場合にはさらに20%の上乗せ支給があり、その上限額は168万円と高額になっています。
対象となる資格は介護福祉士、看護師、保育士、栄養士など専門的なものに限られていますが、目指すものが対象となっている場合にはぜひ利用したい制度です。
特定一般教育訓練給付金
こちらの制度は、令和元年10月からは「特定一般教育訓練給付金」制度が新設されました。
要件などはおおむね一般教育訓練給付金と同様ですが、支給額が受講費用の40%(上限20万円)まで引き上げられています。
一般教育訓練給付金との最大の違いは、
(2) ジョブカードを作成し
(3) ハローワークにおいて受給資格確認を行う
ことが義務づけられている点です。
より就職へ直結させる狙いがあるため、支給を受けるためのハードルがやや高くなるぶん、支給額も増えるといったイメージです。
自分の状況に応じて給付金を選ぶ

給付金には下記のような種類がありますので、
・ 特定一般教育訓練給付金
・ 専門実践教育訓練給付金
どの制度を使うべきか、自分の状況や目指す資格に応じて最適な選択をする必要があります。
給与所得者の「特定支出控除」で学費も経費扱いに

働きながら専門学校などに通う場合、学習にかかっている費用を経費とする事で所得税を抑えることが可能です。
このとき利用するのは「特定支出控除」という制度で、業務上必要な経費にあたる費用について、確定申告を行う事により所得税控除を受けることができるというものです。
・ 英語検定
・ 簿記
・ 医師免許
・ 弁護士
・ 公認会計士
・ MBA取得のための大学院費
などの資格取得費用が対象となるほか、
・ 交際費
・ 通勤費転居費用
など、さまざまな費用が対象となっています。
ただし、資格取得費や学費のうち特定支出控除の対象となるのは、専門的な分野のみとされています。
さらに、それが業務に必要であることの証明書を会社からもらう必要があります。
また、控除したい経費が給与所得控除額の半分を超える場合が対象となるため、まとまった額が必要となります。
そのため、会社に内緒で勉強したい場合や学費がそこまで高額ではない場合には当てはまりませんが、もし要件に当てはまることがあれば利用しておきたい制度です。
専門知識の習得で転職や定年後の再雇用を有利に
60歳を超えても働き続ける選択をする人が増えている今、キャリア形成につながるさまざまな知識や技術を習得しておく事が重要視されています。
また、出産や子育てなどで長期間就労から離れていた場合にも、専門知識があれば再就職しやすくなるかもしれません。
大人の「学び直し」をする際にはぜひ、今回ご紹介した制度を利用してみてください。(執筆者:島村 妃奈)