今回は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて上昇する「毎月分配型投資信託」の魅力と注意事項について解説していきたいと思います。
目次
毎月分配型投信とは

毎月分配型投資信託とは、各投資信託の毎月の決算日に一定の分配金を受け取れる有価証券であり、運用はプロの運用担当者が行います。
分配金と元本払戻金
株式の配当金の場合は、株価にプラスアルファで年1~2回配当金を受け取る権利を得られます。
一方で毎月分配型投資信託は、運用成果によって分配金が支払われるため、毎月権利落ち後には分配金の分だけ基準価額は下落します。
基準価額が上昇した場合
例えば、基準価額3,000円、分配金100円の投資信託の場合、決算日に3,100円まで上昇していると、基準価額は100円下落し基準価額は3,000円に戻ります。
分配金は値上がり益から支払われるため、20.315%の課税対象です。
基準価額が上昇しなかった場合
基準価額が決算日までに変わらず3,000円のままだった場合はどうなるのでしょうか。
100円の分配金は必ず支払われるので、基準価額は2,900円となり元金から分配金が支払われます。
この分配金は、元本払戻金と言われ、利益ではないので課税対象ではありません。
株型・REIT・債券型の3種類がある
毎月分配型投資信託は主に、
・ REIT(不動産投資信託)
・ 債券型
の3種類に分かれており、複合型の商品も存在します。
リスクは株型 → REIT → 債券型の順に低くなり、それに比例して分配金も引き下がる傾向にありますので、リスク許容度に応じて商品を選択できます。
元本回収ペースの短縮がポイント
毎月分配型投資信託での運用は、株式のように値上がり益を追求するわけではないので、年単位での運用が基本です。
ここでポイントとなるのが、分配金で元本を回収し終わった後にいくら残るのかということです。
元金さえ回収し終われば残った投資金額が利益となるので、不労所得化が完了し、その後は元本払戻金であっても利益から分配金が拠出されたものと考えられます。
そのため、分配型投資信託での運用を検討している場合は、普通分配金であっても元本払戻金であっても、分配金が一定期間高い水準で維持されているのならば、そのまま運用を継続していいのです。
しかし、投資家の中にはこの考え方を身に付けていない人が多く、単純に、
「元本払戻金しか出ていないから」
と売却してしまう方が非常に多いようです。
そのため、正しい考え方を事前に身に付けておく必要があります。
基準価額が下落した時に仕込む

毎月分配型投資信託に投資する際は、分配利回りが高い時に投資するのが基本です。
そのためには、
・ 基準価額が下落したタイミングで買付を検討する
必要があります。
今回の新型コロナウイルス感染拡大により、全ての有価証券が暴落し、毎月分配型投資信託の基準価額も暴落しています。
その結果、ある商品では分配利回りが20%台だったものが40%台まで大幅に上昇しており、元本回収までに税引き前で5年かかったものが2年半までその期間を短縮できるのです。
そのため、将来的に毎月分配型投信で不労所得化を目指す投資家にとっては千載一遇のチャンスといえます。
減配リスクに注意
上記にあるように、現在は分配利回りが急上昇しており、異常な水準で推移しています。
しかし、ファンドの運用担当者からすれば、安い水準で分配金を出し過ぎると基準価額が下落し、純資産総額が減少してしまうため、分配金を引き下げ基準価額の上昇を目指す可能性があります。
実際、いくつかの商品ではすでに減配されているものが出てきており、基準価額の安定化を図っています。
そのため、減配リスクを意識しながら、「いくらまで分配金が引き下がっても大丈夫か」を事前に検討しておく必要があります。
仮に減配したら、
・ その期間が明らかに長期化しそうな場合は新たな商品への見直しを検討する
といったことも必要となる可能性があるのです。
そのリスクを回避するために注目しておかなければいけないのが、各商品の分配原資がどれだけ残っているかという点です。
分配原資がある程度残っていれば、減配のリスクは低く抑えられるので、各商品の運用報告書から分配原資がどれだけ増減しているのかを確認するようにしましょう。
商品の検討は慎重に
以上より、新型コロナウイルス感染拡大による経済の低迷が現状続いていますが、このコロナ危機は長期的にみればいずれ終息するのは過去の歴史を見ても明らかであり、現在の暴落時にどういった資産を保有しておくのかが非常に重要です。
毎月分配型投信は、数年後の不労所得を構築するのに有効な一手であり、安いタイミングで早めに仕込めるほど有利といえます。
しかし、その商品性はさまざまです。
どういった商品に投資すべきなのかを慎重に検討するように心がけましょう。(執筆者:白鳥 翔一)