先週は、ゴールデンウィーク前後の高値圏もみ合いから一段高を試みるも息切れをして押す雰囲気を作る一週間となりました。
この押しが上昇の途中の押しなのか? 上げきったところからの下げの始まりとなるのか? 週明けの展開によって答えは出るものの、意識している切り上げのトレンドラインまで押して下げ渋る展開となっていることで、下値は底かたい雰囲気を作った一週間と考えらえます。
先週の高値は、前週から切り上げたものの、切り上げた翌日に押し始めるという、ここ最近のパターンが継続したことと、前々から申している3月6日から9日にかけて空けた窓が抵抗帯となっていることに変わりなく、概ねコロナでの下げから50%戻し前後で上げ渋った動きの一週間となりました。
まだ、上値を追う余地はあるものの、息切れしている可能性も過分にあり、判断が難しい展開になっています。
コロナの感染拡大の第一波のピークは先進国では終焉となり、経済活動の開始とコロナの共存という雰囲気が出るものの、世界的に第二波への懸念はぬぐえないことで、上値追いを出来る雰囲気になく、経済再開の雰囲気は出たものの、実際の経済的なダメージの深さが見えないことも現状のもみ合い形成の要因と考えます。
この後の展開としては、経済再開のスピード感と経済のダメージの深さとの天秤で、どちらに投資家心理が向かうかがポイントになると思います。
私的には、経済的なダメージの深さはまだまだ底が見えないことで、本格的に株式市場への影響はもう少し先となると思うものの、上げる材料も限定的であり、なかなか方向感を出し切れない時期が続くと考えます。
目次
トヨタが下方修正を発表
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そんな中、消費者指数などの経済指標の悪化は表面化しており、ダメージの底は見えないもののダメージをイメージさせる材料は出てきており、そのダメージによる相場への影響も限定的とは思うものの出てきていると思います。
その一つとして、トヨタの決算発表により他のメーカーが2021年3月期の数字を測定不能的な形で回避している中、トヨタは営業益が約80%減益で5000億の営業利益になると下方修正を発表しました。
そして豊田社長のコメントでは、リーマンショック以上のダメージという表現をしており、そのあとのトヨタ株は下落し日経よりも弱い動きになっていると見受けます。
そうは言っても、まだまだトヨタは黒字の範囲での下方修正で、かつ内部留保が日本国内で最大級の会社であることは誰もが知っていることで、それらを踏まえたマーケットの反応であると考えると、同業他社や他業種に関しては、もっと根深い影響は誰が考えても想定できます。
さらに同日に決算発表した同業のホンダ・マツダに関しては、2021年の修正は見送ったものの2020年3月期の内容を20%から25%の下方修正をしており、コロナ問題での影響というよりその前からの消費増税でのダメージを残しているという事もうかがえます。
レナウン社が民事再生
そしてコロナ問題後、初の上場企業の民事再生が発表されました。
アパレル系のレナウン社です。負債総額の大きさや今までの規模を考えると、このタイミングでの破綻は早すぎであり、やはりコロナ問題はトリガー(引き金)となっているものの、企業体力が落ちているところにコロナ問題が出てきていると考えられます。
従って、消費関連の業態に関しては、今後非常に影響の深さが怖いと考えられます。
そして世界ではやはり予想通りトランプ大統領のアメリカファーストがさく裂を始めており、中国への敵対が目立っております。
この辺りもコロナ後の経済再生の足かせになることは一目瞭然かと思います。
そんな中での日経平均は、この後の展開としては、切り上げをキープできるか? 横ばいのBOX入りとなるか? トレンドの変化を見極める材料を自身の中に持っておいて、タイムリーにトレンド変換に備えられる準備が必要であると考えます。
現状分析
5日線
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向きは上向きのまま始まるも、週末に向きを下として週末入りしました。位置としては上に乖離した状態の週初めから週中に実体が触れ、後半に終値ベースで2日間割り込んでの週末入りとなりました。この後、下に乖離していくかに注目です。
25日線
上向きを維持しており、位置も上への乖離を維持したまま一週間を終えました。
上への乖離率も大きく広げることなく、現状じり高という雰囲気で、一気に利確が進むほど上げきらないという曖昧な動きをしていると考えます。
75日線
変わらず下向きで、下への乖離を維持したまま一週間を経過し、乖離も200円ちょっとまで狭める日もあり、間もなく触れる可能性が高くなってきました。
触れるのか?触れずに押すのか? 触れて上抜けするのか? この後の75日線とローソク足の位置取りに注目です。
トレンドライン
3月19日と4月22日の安値を結んだラインは、木曜金曜と割り込んで、上値追いに陰りがみられると取れるものの、4月22日と5月7日の安値を結んだラインは、この週末サポートラインとして維持していると考えられ、週明けこの週末サポートラインとなっているトレンドラインを維持できるか注目です。
割り込んだときの下のサポートラインとしては、25日線4月22日の安値の横軸を目先気にしますが、もう少し近いところでは、5月7日の安値の横軸もサポートラインとして機能すると、とても狭いレンジの動きとなり、じれったいという展開となりそうです。
上に関しては、3月6日から9日の窓の価格帯と、その上に2万1000円ちょっと上の価格帯別出来高のところを意識しつつ、4月8日・17日あたりの上値を結んだ切上がりのラインも上値抵抗線として意識していきたいと思います。
テクニカル指標
一目均衡表
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先週は、2営業日だけ雲から上に飛び出すも、週後半は雲中に戻る形で雲中を推移する動きをメインとした動きで、方向感を示しきれない動きと考えます。
遅行線に関しては、この後切り上がってくる日々線とどのように関わっていくか注目です。
ボリンジャーバンド
波打つ流れから現在は収束の雰囲気となっていますが、波打ちの一環と考えるのが妥当かなと思います。
そんな中で今週後半の2日間が+1σを割り込んだという事は、上値追いに陰りを見せたと考えられ、週明け早々に+1σを奪還できるか注目で、奪還できないようであれば、-1σないし-2σを目指す可能性が出てきて、本格的に横向きのBOXをイメージさせることになりそうです。
スローストキャスト
デットクロスの位置が微妙に切下がりはしたものの、高値圏でのデットクロスという範疇なので、まだ方向感を出したとは考えにくい動きとなっています。
この後2本のラインが前回のゴールデンクロスの位置より下に降りていくか注目で、下りて行けば切り上げは一旦終焉で、横向きのBOXもしくは下落に向かうというシグナルとなりますが、目先はBOXへのシグナルという事となります。
総合判断
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現段階では切上がりのBOX継続中で、この切上がりのBOXの下減に位置しており、この下減を割り込むかの見極めポイントに現在いるという判断となります。
見極めポイントにいるという事は、短期的に目先の動きで一つの判断が出来るので、細心の注意が必要な値ごろ感であるとお考え下さい。
週明けの動き、事細かに終値ベースと、毎日の安値・高値の更新から、投資家心理を読み解いていきましょう。(執筆者:城 晶子)