路線価は、相続税(贈与税)で土地の評価額を算出する際に使用し、国税庁が毎年7月にその年の路線価を公表します。
路線価の金額は時価相場と同様で景気が悪くなれば価値は下がるため、自宅近くの路線価は毎年チェックすべきです。
2020年は新型コロナウイルスにより日本経済が悪化していますが、今年の路線価はコロナの影響で金額は下がるのか、その可能性について解説します。
※2020年5月時点の情報を基に作成しています。

目次
2020年の路線価の金額が大幅に下がるとは考えにくい
路線価の公表時期は7月ですが、基準日はその年の1月1日です。
新型コロナウイルスは、路線価の基準日である2020年1月1日時点での影響はありませんでしたので、2020年(令和2年)の路線価の金額が大幅に下がる可能性は低いと考えられます。
また、路線価の金額は、その年の相続・贈与に対して適用しますので、2020年1月の相続と12月の相続でも、使用する路線価は同じです。
路線価に補正率を乗じる緊急措置が実施される可能性はある
2020年(令和2年)の相続で使用する路線価には、新型コロナウイルスの影響が加味される可能性は低いと言えます。
しかし、路線価の金額は変わらなくても、2020年の相続税の土地の相続税評価額が下がる可能性はあります。
東日本大震災が発生した2011年の路線価は、基準日が震災発生前の1月1日であったため、路線価の金額に震災による影響は反映されていませんでした。
しかし、2011年3月11日以降に申告期限が到来する、相続税の土地の計算においては、路線価に対し調整率を乗じる措置が取られました。
調整率とは
震災による影響を加味するための補正で、被災した地域によっては調整率を加えることで相続税評価額が80%下がるケースもありました。
2020年5月時点では、国税庁から路線価の補正等についての情報はありません。
しかし、全国的に新型コロナウイルスの影響が出ている昨今の状況を踏まえると、調整率などの措置が講じられる可能性はあります。
路線価を使用せずに相続税評価額を算出することも可能

新型コロナウイルスの影響で、路線価の金額より土地の価値が大幅に下がることも考えられます。
通常、相続税の土地の計算では路線価を使用しますが、路線価を使用せず、時価評価によって土地の相続税評価額を算出することも認められています。
私が税務署職員時代にも、路線価による評価額が時価額と大幅に違うと判断した相続人が、時価額で相続税を計算し、申告書を提出したケースがありました。
ただし、路線価を使わないで算出した土地の評価額については、税務署が厳しくチェックするので注意が必要です。
税務署が路線価の金額が正当と判断した場合には税務調査が実施される可能性もありますので、路線価を使用せずに相続税評価額を算出する際には専門家に相談してください。(執筆者:平井 拓)