国民が等しく一律10万円もらえる「特別定額給付金」の申請が、早いところで2020年5月1日に開始されました。
郵送による申請のほか、マイナンバーカードを使ったオンライン申請も可能です。
連休明けに、電子証明書が使えるよう窓口に殺到して、自治体によっては何時間も待たされるケースが話題になりました。
この件が報道されたのは、密が生じてコロナ感染対策の観点から良くないということがありますが、実はこの時期に窓口に来る人が増加する原因は、他にも制度上の理由が考えられます。
報道されたのは電子証明書のパスワードロックがかかって窓口に来られた方の話ですが、取り決め上失効してしまったら本人の努力ではどうしようもありません。
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電子証明書の有効期限は5回目の誕生日
マイナンバーカードそのものは発行後10回目の誕生日まで有効ですが、オンライン申請で使うために搭載された電子証明書に関しては、半分の5回目の誕生日まで有効です。
例えば4月15日誕生日の方に対して、2016年3月にマイナンバーカードが発行された場合、2020年4月15日に電子証明書は失効します。

マイナンバーの通知カードは2015年10月に送付開始されているので、通知カードが届いていち早くカードを発行した方が、特別定額給付金の申請を目の前にしてタイミング悪く電子証明書が失効することもありえるわけです。
なお住所・氏名を変更した場合でも、電子証明書は失効となるのでご注意ください。
窓口に行かないと更新できない
5回目の誕生日以降も有効にしたいのであれば窓口に行かなければならず、窓口での更新作業が終わればカードそのものの更新期限まで有効になります。
運転免許証のように更新期限の延長でもされれば良かったのでしょうが、目の前に役立つ申請があるにも拘らず延長されない以上は、こちらの原因でも窓口の混雑が生じてしまうのは必然的と言わざるを得ません。
5回目の誕生日到来3カ月前から窓口での更新申請は可能ですが、マイナンバーカードを発行しているJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)から更新期限のお知らせが来るのは、1~2か月前です。
筆者も2016年序盤にマイナンバーカードを発行しており6月生まれですが、更新期限のお知らせが5月8日に届きました。
お知らせが来る前にガラガラの窓口で更新はすでに終えましたが、このタイミングの案内に少し困惑もしました。
電子証明書の期限が一旦切れても更新できますという案内もされていましたが、窓口に行かない形での期限延長措置は何らされないことに、カードや電子申請普及に対する国の本気度を疑ってしまいました。
5/25「通知カード廃止」で慌ててもいけない
2020年5月25日をもって、マイナンバーの「通知カード廃止」も行われます。
細かい話はここでは割愛しますが、実際のところは文字通りに解釈する必要はなく、少なくともこの日までにマイナンバーカード発行の申請を行わなければいけないわけではありません。
ただこの意味がわかりづらいゆえに、窓口に来てしまう人も出てくるように思います。
廃止日の延期も行われれば良かったのですが、こちらも延期されなかった以上窓口の混乱に拍車をかけてしまったような気がしてなりません。

郵送での給付金申請も考えたい
電子証明書の失効・パスワードロックどちらにしても自治体の窓口に行かないと解決しないわけですが、現実問題として本当に自治体の窓口に行くのがいいのかということです。
これは常識的な感覚だと思いますし、所得税の還付は電子申告したほうが書面申告より早いと国税庁も推奨しています。
オンライン申請が早期入金という保証はない
ところが特別定額給付金は、電子申請した方が早く振り込まれる保証はないのです。
電子申請のシステムで送信されたものと住民基本台帳との照合を手作業でやれば、時間がかかるためです。
電子申請は世帯主以外でもできてしまいますし、世帯員を誤って記載できても送信できますので、これらに対する不備審査も必要になってきます。
この手間のせいで、オンライン申請を5月中に打ち切る自治体まで出てきました。
せっかくマイナンバーカードや電子申請普及の機会が来たにも拘らず、数多くの観点から国自らが(支給窓口となる地方との調整不足もあり)潰しているように見えるのは本当に残念です。
・自治体側がオンライン申請を推奨、もしくは原則としている
(「オンラインのほうが郵送より早期に振り込む」と案内しているならなお良い)
・電子証明書更新の窓口がさほど混んでない
この2点を全て満たしているのであれば、窓口で証明書更新するのも良いでしょう。
自治体によってはオンライン申請の迅速なチェック体制を組んでいるので、報道された一部自治体のように郵送のほうが絶対に早いとも言い切れません。
しかし2点のうちいずれかを満たしていないのであれば、申請書を郵送することも考えましょう。(執筆者:石谷 彰彦)