以前の記事では、適切なタイミングで比率を守ってナンピンすることによって、ナンピン特有のリスクを避けられることを解説しました。
ナンピンし、平均取得価格を有利にしておけば、その後の売買でも有利な状況が続き、売買全体でのリスクを避けることにつながります。
ナンピンが強い戦略になり得る、その理由を2つ解説します。
目次
【理由1】平均取得価格が不利になりにくい

底値圏でうまく買えて、その後上昇トレンドに入った際には、押し目でさらに買い増しをし、利益を伸ばしていくことを考えます。
この時、底値圏でナンピンしておくかどうかによって、買い増しのリスクが大きく変わります。
上昇トレンドの最中に買い増しをすると、底値圏より高い株価で買うため、平均取得価格は上がってしまいます。
もし、底値圏でナンピンしておらず、安い株価での買い株数が少なければ、上昇にともなう買い増しによって平均取得価格も上がりやすくなり、買い増しのたびに平均取得株価が現在の株価に容易に近づいていきます。
しかし、底値圏でのナンピンによって、安い株価で多くの株を買っておけば、買い増しによる平均取得価格の上昇が抑えられます。
できるだけ安い価格で少しずつ買い増していけば、平均取得価格を現在の株価よりも大幅に安い価格で維持できます。
【理由2】相場の急変によるリスクを受けにくい

買い増しによって、平均取得価格が現在の株価に近くなっているポジションでは、相場急変の際に損失を被るリスクが高まります。
特に、コロナショックのような暴落が起きた場合には、現在の株価が平均取得価格を割り込む可能性が高いため、相場の急変に非常に弱いポジションといえます。
一方、底値圏でナンピンしておき、買い増しによる平均取得価格の上昇を抑えておけば、株価が大きく下落したとしても、平均取得価格を割り込むまでに大きな余地があります。
このため、損失を被るリスクは小さく、早急に利確すれば大きな利益も期待できます。
底値圏のナンピンはメリットも多い
一般的には、ナンピンは相場急変の際に損失を被る可能性があり、リスクが高いといわれています。
しかし、底値圏でナンピンすることによって、平均取得価格を有利にしておけば、買い増しもスムーズにでき、相場の急変にも耐性のある強いポジションを作れます。
やり方次第でむしろリスク回避につながるのですから、ナンピンはハイリスクであると頭から決めつけることなく、うまく活用していくことが大切です。(執筆者:兼山 艮)