コロナショック以降、各国は金融緩和政策を進め、実体経済に反して想定以上の株高傾向が続いています。
再度、「金融相場の様相」を呈してきた株式市場を、各国の動向や注意点に着目して解説します。

目次
コロナショック下での各国の動向
今回のコロナショックを受け、世界各国は過去最大の経済対策に打って出ました。
米連邦準備理事会(FRB)は、6月10日に
・ 米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券を月400憶ドル購入維持する
ことを決定しました。
また、欧州中央銀行(ECB)も同月4日、ユーロ圏の経済見通しを発表し、実質GDPが8.7%減少し、インフレ率が0.3%に留まるとの見通しとなったことから、
そして資産買い入れ期間も6か月延長して、少なくとも21年6月末までとしました。
ECBは、すでに4月からの2か月間で約2,400億ユーロ(月1,200億ユーロ)の購入を行っており、今回の資産購入額拡大を受け、さらに毎月1,000億ユーロペースでそれを進めることが可能となったため、

株式市場へのインパクトは
今回のECBの追加金融緩和を受け、日経平均は2万3,000円の節目を超え、
この際に相場を押し上げたのは、今まで相場の上昇をけん引していたハイテク株ではなく、各国の経済再開が次々と報道されたことで出遅れていた金融、空運、資源関連などの景気敏感株の急上昇です。
しかし、実体経済に伴わない形での上昇は、
・ 新規投資家の積極的な買い
が主因である可能性が高く、その後コロナウイルス感染拡大の第2波懸念が強まるにつれ、NYダウは史上4番目となる急落に直面しました。
日経平均は再度大幅に下落し、6月15日には、2万1,500円近辺まで急落しました。
これに対応する形でFRBはすぐに追加の金融緩和策を発表し、今まで行っていなかった社債の購入を発表したことで、ハイテク関連株中心に再度上昇に転じました。
これより、コロナショック後の株式市場の動向を見てみても、金融緩和発表後にマーケットは反発に転じていることから、株式市場へのインパクトがどれほど巨大であるか推し量ることができます。
新興国の動向には引き続き注意
今回のコロナショックで最も痛手を被ったのが新興国経済であり、FRBが2022年末までゼロ金利誘導を維持することを決定したことが、引き続き重しとなっています。
ただでさえ医療体制に不安が残る中、米国の金利ゼロ誘導が延長されたことにより、新興国通貨はいまだに低水準で推移しています。
特に注意が必要なのが、外貨準備高が少ないトルコやブラジル等の国々であり、これが少ないほど自国通貨の水準を維持することが困難となるため、さらなる金利低下を迫られたときに大きな傷跡を残してしまう可能性があります。
現に、外貨準備高が多いインドやインドネシアなどの通貨水準は、安値で推移しているものの、過去の下落レンジ内で収まっているのに対し、トルコ・リラやブラジル・レアルは過去最安値を更新してしまっています。

今後の注意点
上記より、現在は各国金融緩和による需給の改善、それに伴う空売り勢の買い戻しが上昇の一因と考えられます。
このことから、今後の相場展開で重要となってくるキーワードは「需給関係」である可能性が非常に高いと考えられます。
ここでの需給とは、機関投資家の週間買い越し金額や、信用倍率の変化であり、これらの指標を重点的に確認しておく必要があります。
日本株式市場では、主力株の信用倍率が高倍率となったタイミングで、機関投資家の売り仕掛けが入る可能性が考えられるため、その動向には特に注意する必要があります。
また、投資主体別売買動向にも注意が必要であり、海外投資家の買いポジションが過去の推移と比較し積み上がり過ぎているようなら、いったんキャッシュポジションに変えておくことも検討するようにしましょう。
見せかけの株価上昇には、下落の前兆をとらえ自衛を
世界各国が協調緩和したことにより、株式市場は実体経済に反して想定以上の上昇を続けています。
しかし、その上昇はあくまでも需給の改善によるところが大きく、企業業績がコロナショック以前の状態に回復していないのに上昇を続けていることに対しては、常に疑問を抱いておかなければなりません。
このような状況下で、マーケットを作っている機関投資家などの大口投資家は虎視眈々と売り仕掛けるタイミングを狙っているため、何かしらの悪材料が出たタイミングで一気に資産が目減りしてしまう可能性があります。
そのため、上記注意事項に注意しながら下落の前兆をとらえるように心掛け、全ての資産を投じるのではなく、キャッシュポジションを確保しておくようにしましょう。
また、信用取引を行っている投資家は、空売りのポジションをいくらか組み込みヘッジをかけるのもいいかもしれません。(執筆者:現役の証券マン 白鳥 翔一)