2020年7月初旬、現在の金価格が約10年来の高値をつけるかどうかが市場関係者の間で注目されています。
新高値をつけることを、米国では「ブレイクアウト」といいます。
普通、過去最高値をつけると「高すぎて買うべきではないのでは」と考えてしまいがちです。
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しかし新高値、ブレイクアウトはテクニカル分析的には買いの急所のひとつとして知られています。
金価格はコロナウイルス感染拡大の前から少しずつ上昇してきました。
米国株投資が最近ブームになった感じもしますが、ブームになっている今こそ少し冷静になって、株式以外のアセットに注目した方が良いかもしれません。
目次
金価格が10年来高値に近づいている
金価格は2011年代にピークをつけて以来、下げと横ばいの動きを続けてきましたが、2019年後半から上昇が続いています。
コロナウイルス感染拡大の影響から米国株をはじめとする世界の市況が大きく荒れて、安全資産のひとつ「有事の金」に資金が逃げたと考えられます。
過去の10年来の高値を越えると金が注目されて買いが買いを呼ぶ展開になる可能性があります。
市場の有識者の中には金に注目している方も少なくない状況で、金の価格が過去最高の高値をつけるかどうかを見守っておいた方が良さそうです。
米国の失業率はコロナ以降2桁
米国の失業率はコロナウイルス感染拡大が騒がれる前は3%台でしたが、2020年の6月の失業率は2桁を超えており、かなり深刻な状況と言えます。
問題は失業率がどこまで回復できるかです。
コロナウイルスの感染拡大以前の失業率の3%台まで戻せるほど実際の雇用は持ち直せるのでしょうか。
米国の失業率が以前と同じ水準まで回復できなければ、いくらFRBが量的緩和をしても失業率が回復しない実体経済に市場が失望し株式市場全体の上値が重くなる可能性もあります。
世界の富裕層が警戒している米国株上昇
大手通信社のロイターでは焦点:金投資に走る世界の超富裕層、株価の急伸に警戒感」というタイトルの記事がアップされています。
参照:ロイター
富を蓄えてきた実績のある富裕層がどのような投資をしているかにも注目するべきです。
2020年の6月中旬の段階で富裕層の金投資の動きが見られます。
米国の株式市場は量的緩和でいわばドルがたくさん刷られている状況です。
つまりお金の価値(米ドル)が下がりインフレが警戒されています。
金は伝統的なインフレに強い資産のひとつです。
株が全体的に業績相場、つまり企業の決算が良いから買われているのではなく単に金融相場、つまりお金が沢山、刷られているから株価が上がっているだけならバブルと言わざるをえません。
日本人が手を出しやすいのは金の果実【1540】
株投資をしている方が簡単に金投資をするなら日本市場の【1540】金の果実(三菱UFJ信託銀行)が、使いやすいのではないでしょうか。
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【理由】
・ 株投資との損益通算が可能
・ 金現物よりも買い付け手数料が基本的に安い
・ 現物交換が可能(多くのETFや投資信託はいざという時に現物の金と交換できない)
S&P500のインデックスに連動する米国株の投資信託やETFがブームです。
もちろんS&P500への投資は模範的なパッシブ運用です。
しかし、だからこそ金価格が高値を更新しそうな状況にも目を配るべきです。
金の価格の動向もしっかりチェック
金価格が約10年の期間をへて高値を更新するかしないというタイミングになっています(2020年7月初旬)。
米国は量的緩和で株式市場を支えていますが、実態経済は失業率をみると2桁を超えており厳しい状況です。
世界の富裕層もインフレを警戒して金に投資をする流れがあります。
日本人なら金の果実が株投資と同じ感覚で取引でき現物との交換も可能なため、使いやすいのではないでしょうか。
株の上昇に慢心しすぎず金の価格の動向もしっかり見ておく方が良さそうです。(執筆者:世界を旅する投資家 田守 正彦)