わが国では、国民みんなが公的医療保険に加入する国民皆保険制度をとっています。
・ 会社員などが加入する「被用者保険」
の2本立てとなっています。
平成20年4月からは、現役世代と高齢者世代の負担を明確化し、公平でわかりやすい制度とするため、また医療制度を将来にわたり持続可能なものとするため、後期高齢者医療制度がスタートしました。
「保険料の軽減などあるの?」
などの疑問にお答えします。
目次
後期高齢者医療制度の対象者
都道府県単位で全市町村が加入する後期高齢者医療広域連合が運営主体(保険者)となり、各都道府県の市町村にお住いの、
・ 65歳以上の方で一定の障がいがあると認定を受けた方
が対象です。
「65歳以上の方で一定の障がいがあると認定を受けた方」は、申請により後期高齢者医療広域連合から認定を受けることが必要です。
制度の対象となると、それまで加入していた医療保険(国民健康保険や社会保険など)から外れ、後期高齢者医療制度の被保険者となります。
被保険者となる日
手続きは不要で、75歳の誕生日当日から後期高齢者医療制度の対象となり、誕生日の前月に後期高齢者医療被保険者証が送られてきます。
一定の障がいがある65歳以上の方は、認定を受けた日から対象です。
後期高齢者医療被保険者証には、自己負担割合(「1割」または「3割」)や有効期限などが記載されています。
被保険者証の有効期限は、原則として毎年8月1日から翌年7月31日までです。
毎年、新しい被保険者証は7月中旬に送付されますので、8月以降は新しい被保険者証を持って病院を受診してください。
参考までに、東京都の後期高齢者被保険者証はこのようなものです。

保険料額は「均等割額」と「所得割額」の合計
被保険者ひとりひとりに対して保険料を計算・決定します。
保険料額は、被保険者全員に等しく負担する「均等割額」と所得に応じて負担する「所得割額」の合計額です。
令和2年度保険料の計算(東京都の場合)
東京都では、令和2・3年度は、
・ 所得割率8.72%(保険料率は2年ごとに見直しが行われます)
・ 保険料の賦課限度額は被保険者1人につき64万円
です。
単身77歳 公的年金など収入 250万円の場合
均等割額4万4,100円は一律なので、所得割額を計算します。
公的年金控除は、収入金額に応じて定められており、例えば収入金額が330万円未満の65歳以上の方の場合は120万円となります。
均等割額 = 4万4,100円(ア)
所得割額 =(250万円 – 120万円 – 33万円)× 8.72%=8万4,584円(イ)
保険料 =(ア)均等割額 +(イ)所得割額 = 12万8,600円(年額)
年額18万円以上の年金受給者は、原則として年金からのお支払いとなります。
参考までに、東京都の場合のさまざまな世帯構成や収入に応じた保険料の計算例です。
参照:東京都後期高齢者医療広域連合 保険料計算例(pdf)
保険料の軽減措置

後期高齢者医療制度の保険料には、各都道府県の後期高齢者医療広域連合によって軽減される率や制度が違っています。
具体的には、以下のような軽減制度があります。
・ 所得の低い方に対する所得割額の軽減
・ 会社の健康保険など(国保・国保組合は除く)の被扶養者だった方に対する軽減
詳しくは、お持ちの被保険者証に記載されている後期高齢者医療広域連合、または、お住まいの市区町村の後期高齢者医療の窓口までお問い合わせください。
参照:後期高齢者医療広域連合の連絡先(保険料関係)
(pdf)
令和2年度(東京都の場合)
均等割額の軽減
「総所得金額などの合計」が下記に該当する世帯で、
33万円以下で被保険者全員が年金収入80万円以下 … 7割
33万円以下で7割軽減の基準に該当しない … 7.75割
33万円 +(28.5万円×被保険者の数)以下 … 5割
33万円 +(52万円×被保険者の数)以下 … 2割
所得割額の軽減
公的年金収入のみの場合の年金収入基準が、
168万円以下 … 50%
173万円以下 … 25%
会社の健康保険など(国保・国保組合は除く)の被扶養者だった方に対する軽減
均等割額 … 5割軽減(加入から2年を経過する月まで)
所得割額 … 当面の間、不要
保険料率や軽減の有無を知り将来の参考に
75歳以降には全ての人が加入する後期高齢者医療制度です。
都道府県によっては、保険料がまったく違ってきます。
この機会に、お住いの都道府県の保険料率や軽減の有無について確認して、将来の参考になさってください。(執筆者:社会保険労務士 望月 葵)