「インフレリスク」という言葉があります。
しかし、具体的にインフレリスクがどういったもので、どのような場合に損失が発生するのか、具体的にわからない人もいると思います。
そこで今回は、インフレリスクについて解説していきます。

目次
インフレリスクとは「物価が上がって貨幣価値が下がる」こと
インフレリスクとは、将来の物価が上下することで、貨幣の価値も上下してしまうリスクのことです。
例えば、2030年の物価が2020年と比べて1.5倍に上昇したとしましょう。
2020年では100円で買えていたリンゴが、2030年では150円出さないと買えなくなります。
すると、2020年は300万円で3万個のりんごが買えますが、2030年では2万個しか買えなくなります。
貨幣価値を計算すると、2030年の100万円は2020年の約67万円分の価値しかありません。
このようにインフレリスクがあることで、将来物価が上昇すると貨幣価値が下がってしまう可能性があります。

インフレリスクの影響を受けるもの
インフレリスクの影響を受けやすいのは、
預貯金で口座にあずけているお金は、物価が上昇しても金額はそのままです。
口座に預けているお金に、物価の上昇率よりも高い金利が適用されて利息が付けば、インフレリスクを回避できますが、その可能性は限りなく低いでしょう。
また円建ての貯蓄型保険とは、保険を契約している人が円で支払った保険料を、保険会社が円のまま運用する保険のことです。
代表的なのは、以下の4種類です。
・ 学資保険
・ 個人年金保険
・ 養老保険
貯蓄型保険は固定金利ですので、加入時に適用された利率が契約期間中ずっと適用されます。
もし保険会社が運用に失敗しても、保険会社が倒産しない限り保険契約者が直接的に影響を受けるわけではありません。
しかしインフレが起こると、将来受け取る保険金の価値が目減りしてしまいます。
たとえば、子供が18歳になったときに200万円を受け取れる学資保険を、子供が0歳のときに加入したとしましょう。
18年後の物価が、加入時の1.2倍になっていると、子供が18歳になった時に受け取れる200万円は、加入時で考えると約167万円の価値しかありません。

投資はインフレリスク対策になるが投資リスクがある
以下は、インフレリスク対策に有効とされています。
・ 変額保険 など
一般的に物価が上がると景気が良くなり、株価や地価は上昇します。
そのため、
しかし投資や変額保険には、投資リスクが存在するため、市場の状況によっては元本割れするリスクがあります。
つまり、どの貯蓄手段にも何かしらのリスクが存在します。
リスクを踏まえて貯蓄方法を選択しよう
貯蓄手段を選ぶときに、ご自身が「どのリスクを許容できるのか」といった視点で考えてみるのも1つの方法です。
「投資リスクを背負ってでも高い利回りを確保したいから、投資で資産を構築しよう」
どれも間違いではありません。
また複数の貯蓄方法を組み合わせるのも、立派なリスク対策です。
今後の日本がどれだけインフレになっていくのかは、誰にも予測できません。
貯蓄手段を選ぶうえで大切なのは、リスクを理解したうえで自分にあったものを選ぶことではないでしょうか。(執筆者:品木 彰)