近年の副業ブームも手伝って、最近ではサラリーマンの方も株式投資を始める人が増えています。
株式投資というと、一般的には証券会社に「特定口座」と呼ばれる専用口座を開設し、その特定口座の中で配当金を受け取ったり、上場株式等の売買を行います。
特定口座では、さらに税金の徴収も自動的に行われる「源泉徴収選択口座」とすることもでき、そうすれば配当金や株の売却代金を受け取る際に、正しい税額が天引きされた後の金額が最初から入金されます。
入金した時には正しい税額がすでに天引きされているため、源泉徴収選択口座内の配当金や売却益についてはあらためて確定申告する必要がなく、もともと確定申告になじみのないサラリーマン投資家にとっては大変便利な制度と言えます。
しかしふるさと納税をしているサラリーマン投資家にとっては、この源泉徴収選択口座内の配当金や売却益をあえて確定申告する方がおトクになります。

目次
【ポイント1】源泉徴収選択口座を申告しても税額は変わらない
特定口座のうち、源泉徴収選択口座内の配当や株の売却益については、上述のとおり入金時に正しい税額が徴収済みであるため、あらためて確定申告する必要がありません。
そのためこの源泉徴収選択口座内の所得について仮に確定申告を行ったとしても、そのせいで納税額が増えるようなことは一切ありません。
源泉徴収選択口座内で売却損が計上された場合などは、損失を翌年以降に繰り越すために例外的に確定申告を行う場合があります。
しかし、そのような特別の事情を除くと、あえて確定申告する意味を持たないのが源泉徴収選択口座ということになります。
【ポイント2】ふるさと納税の限度額は「所得金額」に連動して増加する
数年前よりふるさと納税がメディアで取り上げられることも多くなり、今では確定申告をしなくてもそのメリットを享受できることから、サラリーマンにも大人気の制度となりました。
ふるさと納税は寄附をすればするほど恩恵を受けられるというものではなく、メリットを最大化するためには、各人の「課税所得」に応じて算出される限度額を超えないように寄附を行う必要があります。
限度額の基準となる「課税所得」は、所得金額の合計から所得控除額を差し引くことで計算されます。
したがって所得金額が増えれば課税所得も増加し、それによってふるさと納税の限度額も引き上がるという関係性が成り立ちます。

【結論】特定口座を申告すれば、ふるさと納税の限度額が増える
源泉徴収選択口座を選択している特定口座内の所得については、正しい税額は徴収されていますが、実は確定申告をしない限りは「所得」としては認識されていません。
言い方を変えれば、確定申告をして初めて所得金額を構成します。
したがって源泉徴収選択口座内の所得を確定申告することでその分だけ所得金額が増え、ふるさと納税の限度額も増加することになります。
先述のとおり、源泉徴収選択口座内の所得を確定申告したとしても納税額にはまったく影響はありません。
これを申告すれば、ただ単にふるさと納税の限度額だけを増加させられます。
【注意点】国民健康保険の被保険者は注意が必要
源泉徴収選択口座内の所得を申告することについて、唯一注意が必要なのは国民健康保険の被保険者です。
国民健康保険では所得金額をもとに保険料が計算されますので、源泉徴収選択口座内の所得を確定申告することで増加した所得をベースに保険料が算出されると、納める額が増加してしまうこととなります。
したがって国民健康保険の被保険者については、保険料に与える影響も加味した上で、源泉徴収選択口座内の所得を確定申告するか否かご判断ください。
なお会社で社会保険に加入している場合には給与以外の収入は一切保険料に影響しませんので、源泉徴収選択口座内の所得を申告したとしても保険料が増えることはありません。
限度額を引き上げたいなら特定口座をあえて確定申告しよう
以上をおさらいすると、源泉徴収選択口座内の所得は以下のようにまとめられます。
(2) 税金はすでに徴収済みのため、確定申告しても納税額は増えない
(3) 確定申告すれば所得として認識されるため、ふるさと納税の限度額は増える
(4) 確定申告して所得が増えることによって、国民健康の場合は保険料が増えるが、会社の社会保険であれば保険料は変わらない
したがって社会保険に加入しているサラリーマン投資家の方々は、特定口座をあえて確定申告することによってふるさと納税の限度額を引き上げてみてはいかがでしょうか。(執筆者:税理士 服部 大)
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