証券会社時代の同僚2人と金の価格が上がっている事から「純金積立」の話になりました。
「純金積立をしている」をしている2人の話は全く正反対でした。
Bさん「純金積立は儲からないから止めた方がいいよ。僕は純金積立を止めて他の投資対象に鞍替えしようと思っているよ」
2人の純金積立の感想はなぜ正反対になったのでしょう。
そこには、純金積立の特性とメリットとデメリットを理解する重要なキーワードが潜んでいました。
今回は2人の経験を通してそれを解説したいと思います。
目次
純金積立とは

株や債券に投資をした場合、発行元である会社が倒産すると価値がなくなってしまいますが、金は実物資産なので、そのような心配がありません。
世の中には金ETFや金地金取引などがありますが、今回は純金積立をお話ししたいと思います。
今はネット証券でも純金積立を取り扱っているので、初心者の方も始めやすくなっています。
純金積立の特性、メリットとデメリットを解説するうえで上記の2人の話を聞いてみたいと思います。
Aさんが話す純金積立のメリット3つ
1. ドルコスト平均法の恩恵を受けられる
「ドルコスト平均法」とは、毎月同じ額を買い足していく手法の事です。
例えば毎月1万円で金を購入するとします。
金の価格が下がった時は同じ1万円でも金を多く購入できます。
逆に金価格が上がると購入量は少なくなります。
ドルコスト平均法で購入する事により、価格下落リスクに左右されにくくなるというメリットがあります。
実際、Aさんが純金積立をしている間に、金価格が大きく下落する事が何度かあったそうですが、現在は5万円以上利益が出ているそうです。
金を扱った商品は他にもありますが、最初に申し込むだけで毎月同じ額を購入し続けられるシステムは純金積立にしかありません。
2. 小額から購入可能
実際に金の延べ棒を買おうとすると何百万円も必要ですが、純金積立なら少額から始められます。
会社にもよりますが、少ない所では毎月1,000円以上から買い付けができます。
3. 長期保有に向いている
純金積立には株や債券にはない特殊な税制があります。
・ 譲渡所得扱いであり、50万円以下の利益は納税不要
・ 5年以上の長期保有するとさらに減税される
というものです。
この税制を見ていただければ分るように、5年、10年、15年と保有して形成していく資産になります。
そのため、毎日価格をチェックして一喜一憂しなくていいというメリットがあります。
Bさんの話す純金積立のデメリット

1. 手数料がかかる
買付に1.6%~2.5%ほどの手数料がかかります。
Bさん自身も、「手数料がかかるのは株も投信も一緒だから、ある程度は仕方ない」と話していました。
2. 購入価格と売却価格に差がある
外貨預金や外貨MMFも同じ事が言えますが、購入する価格と売却する価格には差額があります。
取り扱う会社によって違うので事前にチェックしておく事をお勧めします。
その時の金価格での換金(1キロ以上なら現物でもらえる所もあります)になるので、元本保証ではありません。
3. 利子配当がない
毎月分配型の投資信託や、配当を出す株式と違って純金積立には利息や配当がありません。
2人の話から考える純金積立に向いている人・向いていない人
向いている
純金積立には株と違って「先週買った株が2倍に値上がりした」という事はありません。
一般的に、金価格が上昇するのは、景気が悪くなった時です。
先の例では、Aさんは「老後、景気が悪化した時に備えて純金積立をしている」と話しており実際10年間継続しているそうです。
しかしBさんは「短期利益を狙ってすぐに売り買いしたい」と考えていたそうです。
「短期の売買益に期待したい」より、「将来に備えて長期保有」と考えている人のほうが向いています。
向いていない
Aさんは「老後資金の足しに始めた。20年後か30年後に値上がりしていると良いなと思って持っている」
Bさんは「僕は毎月の利息配当だけで生活できるようになって、早めに退職したい。だから利子配当のない純金積立は僕には向いていなかった」
と話していました。
Aさんのように「毎月の利子配当より老後資金の足しに」という方には、純金積立はiDeCoや積立NISAと併用したい資産運用の1つと言えます。
しかしBさんのように「毎月の利子配当で生活していきたい」という人には全く向いていないと言えます。
純金積立のおさらい
純金積立は、特殊な税制があり長期保有に向いている投資法です。
ドルコスト平均法で毎月同じ額をコツコツと積み立てる事により、10年後15年後の資産形成を助けます。
手数料がかかる点と購入価格と売却価格に差がある点に気を付けましょう。
利子配当が出ず短期の値上がり益を狙って売買するものではないので、
・ 短期の値上がり益を期待する
と考えている人には向いていないので注意してください。(執筆者:元証券ウーマン 成瀬 なぎさ)