外貨建て保険は、円建て保険よりも高い利回りが期待できる貯蓄型保険です。
しかし利回りが高いからといって、安易に外貨建て保険へ加入してはいけません。
なぜなら外貨建て保険には、為替リスクが存在するからです。
そこで今回は、外貨建て保険に加入する際に知っておきたい、為替リスクについて解説していきます。

目次
外貨建て保険とは
外貨建て保険をご存じない方のために、まずは外貨建て保険の基本的な仕組みから解説していきます。
外貨建て保険は顧客が支払った保険料を円からドルに交換して運用する貯蓄型保険商品のことです。
日本は、長らく低金利の時代が続いています。
そのため、保険契約者が支払った保険料を、円のまま運用する円建ての保険に適用される利率は年々低下しており、ひと昔前のように積み立てたお金が増えていきません。
そこでアメリカやオーストラリアといった、日本よりも金利が高い通貨に交換して運用することで、高い利回りが期待できます。
為替リスクとは円と外貨の為替レートの変動によるリスク
為替レートとは「1ドル〇〇円」のように、それぞれの貨幣を交換する際に適用される指標です。
為替レートは毎日変動しており、シーソーのように片方が上がると片方が下がるしくみです。
仮に1ドルが100円から、1ドルが120円に変化した場合、1ドルが100円で交換できていたものが、120円出さないと交換できない状態に変化します。
この状態は、円の価値が下がる一方で、ドルの価値は上がるため「ドル高円安」といいます。
そして外貨建て保険は、為替レートの影響によって将来受け取れる保険金の価値が上下します。
例えば、満期時に支払った保険料の110%に増えて戻ってくる外貨建て養老保険に加入したとしましょう。
加入時の為替相場が1ドル100円で、支払った保険料が500万円の場合、保険料はいったん5万ドルに交換され、保険会社によって運用されることで満期時には5.5万ドルまで増えます。
もし満期時と加入したときの為替相場が変わらないのであれば、550万円の満期保険金を受け取れます。
しかし満期保険金を受け取るときに、1ドルが80円なっていたらどうなるでしょうか。
受け取れる満期保険金は、5.5万ドル× 80円で440万円まで低下します。
反対に1ドルが120円の円安になっていた場合は、満期保険金は660万円まで増えます。
このように、外貨建て保険に加入したときと、保険金を受け取る時の為替レートの差によって、特をすることもあれば損をすることもあります。
外貨建て保険は手数料にも注意が必要

外貨建て保険は、顧客が支払った保険料を円からドルに交換するときと、積み立てたドルを円に交換するとき、それぞれ手数料がかかります。
例えば、1ドル100円の場合は、保険料を円からドルに交換するときは1ドル=100.5円、保険金をドルから円に交換するときは99.5円で計算されます。
つまり、往復で1ドルにつき1円の手数料がかかります。
仮に、保険金が5万ドルだった場合の手数料は、5万円です。
この5万円を、高いと捉えるか安いと捉えるかは個人の考えによって異なりますが 、外貨建て保険に加入するときは、手数料の確認が必要であるといえます。
外貨建て保険に加入する際は内容を慎重に確認しよう
為替リスクや手数料の存在を知ったことで、外貨建て保険に悪い印象を抱かれる方もいらっしゃいます。
しかし外貨建て保険自体が悪い商品なわけではありません。
この低金利の時代に、自分で投資の勉強をすることなく、高い利回りが期待できる金融商品は数少ないです。
外貨建て保険に加入する際は、良い点ばかりに目を向けるのではなく、リスクもしっかり把握することが大切です。(執筆者:品木 彰)