「銀行の窓口で『お勧めの商品は何ですか』なんて聞くとカモにされてしまう」
投資に少しでも興味がある人であれば、このような言葉を聞いたことがあると思います。
実は、証券会社で8年間働いていた筆者自身も、
「悪い商品を紹介しているの?」
といった具合に新人の頃はみなさんと全く同じことをイメージしていました。
しかし、実際に証券会社で働いてその考えは大きな間違いであることを学びました。
「証券会社は手数料で儲けているから、勧められた商品を買ってはいけない」そう思っている方の誤解を解くために説明します。

目次
金融機関が勧めるから値下がりするのではない
具体例を挙げて説明します。
私が新人だった頃、インド株式に投資をする投資信託をお勧めしていました。
当時インドは新興国で、これから経済が成長する国の筆頭でした。
そのため、会社が「世界中の投資マネーがインドに集まって株高になる」と予想していました。
私たち営業職は、既存のお客様にも窓口に来た新規のお客様にも全員に必ずこのインド株の投資信託をお勧めし、1万円だった基準価格が3年後に3倍の3万円になりました。
証券会社が予想した「新興国であるインド市場に世界の投資マネーが集まって株高になる」という相場展望が当たりました。
しかしその後、インド株式の投資信託はリーマンショックによって一時基準価格が9,000円に値下がりしました。
これは「証券会社が勧めたから下がった」のでしょうか。
そうではなく、リーマンショックによる世界的な不況に伴う株安が原因で値下がりしました。
金融商品の値動きに金融機関が勧めたかどうかは関係ありません。
全ては相場の展開によるものです。
のです。

金融機関に利用されるのではなく、自分が利用する
もちろん、金融機関の窓口で言われたことをうのみにして商品を購入するのは危険です。
一方で、「勧められたものは買わない」と頭から否定してしまうと、自身の投資の判断材料を狭めてしまうのでこれもまた危険です。
金融機関の担当者に商品を勧められた際には、
・ 今後の相場展開をどのように予想しているのか
根拠となる部分をしっかりと聞き出して自身の投資の判断材料の1つにすることが大切です。
つまり、金融機関の人間を自分の投資のために利用します。
相場観は十人十色、最後に判断するのは自分自身
証券会社に勤務したいた際にいろいろな相場観があることを知りました。
たとえば、「日経平均はこれから5,000円を割り込む」と言う方もいれば「景気が回復したら3万円近くになる」と言う方もいました。
為替でも「米ドルは1ドル50円になる」と主張する方の一方で「米ドルは1ドル200円に戻る」という方もいました。
これから何年、何十年先の相場がどうなるのかは誰にも分かりません。
見えない相場展開の不安とリスクに備えて、多方面からマーケットの情報を聞き出して自分自身で取捨選択することが大切です。
投資の情報は金融機関も含めて集める
・ 金融機関が勧めたから値下がりするのではなく、相場展開に合わない商品が値下がりする
・ 担当者の話をうのみにするのも危険ですが、「勧めたから商品は危険」と頭から否定するのも自身の投資の判断材料を狭めてしまい危険
・ 各金融機関が持っている相場の展望やマーケットの情報を聞き出して、金融機関をうまく利用する
・ 人によって異なる相場観、将来の不安とリスクに備えて、投資の情報を多方面から集めて自分の材料にする
投資の情報は金融機関も利用して集めると捉えるのがよいと言えます。(執筆者:元証券ウーマン 成瀬 なぎさ)