確定給付企業年金には、法令上は、
2. 脱退一時金
3. 障害給付金
4. 遺族給付金
の4種類ありますが、障害給付金は日本にある確定給付企業年金にはほぼなく、遺族給付金もあまり一般的ではありません。
そこで今回は、老齢給付金と脱退一時金について解説します。

目次
脱退一時金の支給要件
まず、脱退一時金の支給要件は、
・ 加入者期間が3年以上20年未満(60歳に達したときに加入者である者にあっては、そのときにおける加入者期間が20年未満)で、
・ 加入者の資格を喪失したとき(死亡による資格喪失を除く)
となっていて、加入者期間が短いまま会社を退職した場合に支給されます。
老齢給付金の支給要件
これに対して、老齢給付金の支給要件は、
加入者期間が20年以上である加入者又は加入者であった者が、60歳に達したときは、その者に老齢給付金を年金として支給する
のように加入者期間がある一定期間(上記の例では20年)以上で定年退職した場合に支給されます。

老齢給付金を一時金と年金どちらでもらう方が得か
このように、老齢給付金と脱退一時金ではそもそも支給要件が異なるので、比較の対象にはなりません。
「一時金と年金、どちらが得か」というのは、実は老齢給付金のもらい方における比較の話です。
まず、老齢給付金は年金でもらうのが原則ですが、法令上・確定給付企業年金規約上は一時金でもらうことも可能です。
確定給付企業年金の給付の仕組み
では、一時金と年金、どちらでもらう方が得でしょうか。
それを理解するためには、確定給付企業年金の給付の仕組みを理解する必要があります。
確定給付企業年金の給付額の算定方法には、定額制、給与比例制、ポイント累計制などさまざまなものがありますが、どの算定方法においても定年時点の一時金額が算出されます。
例えばこの額を1,000万円とします。
一時金でもらう場合の支給額
老齢給付金を一時金でもらう場合は、この1,000万円を定年時点でもらうことになります。
年金でもらう場合の支給額
次に年金でもらう場合の年金額の算定方法ですが、この1,000万円を給付利率(一般的には0%より大きい)による年金現価率で割って算出します。
ここで、年金現価率とは、各年の年金額1を給付利率で現在時点まで割り戻したもののある期間分の総和の数値のことで、例えば給付利率が1.0%、支払い期間が20年の期末払い、期始払いの年金現価率の和半の率は、18.1357807です。
これを用いて年金年額を計算すると、
この55万1,396円を20年間もらうと、1,102万7,920円ですので、
老齢給付金を一時金でもらうより年金でもらった方が得なのは、一般的には年金制度が0%より大きい給付利率という利息を付けて給付してくれるからです。(執筆者:編集部)