不動産投資と言えば、アパートやマンション、戸建などが一般的ですが、自宅と賃貸物件がひとつになった賃貸併用住宅も不動産投資のひとつと言えます。
例えば、3階建の戸建てを建築し、1階を賃貸物件として入居者に貸し、自分たちは2階、3階を使って生活すれば、持ち家として利用しながら家賃収入で住宅ローンの返済できます。
メリットも多そうですが、失敗したという話もよく聞き、やはり不動産投資として考えるとデメリットも多いです。
今回は、賃貸併用住宅で不動産投資をする際の注意点についてお話ししたいと思います。

目次
アパート経営と賃貸併用住宅の違い
アパート経営と賃貸併用住宅の大きな違いは、やはり住宅ローンを使えるかどうかです。
アパート経営で物件を購入する場合は、不動産投資用ローンを利用して物件を購入しますが、賃貸併用住宅の場合は、住宅ローンを利用できます。
アパート経営で不動産投資用ローンを利用するということは、貸家業という事業に対する融資となるので、住宅ローンと比べると金利も高く、期間が短いなど条件面が厳しくなります。
賃貸併用住宅の場合だと、住宅の一部を貸すということで住宅ローンが使えます。
不動産投資として考えると条件的には有利と言えます。
そのかわり、何でも良いというわけではなく、住宅ローンを受けるためには、自宅部分が建物の50%以上ないといけないという制限があります。
住宅ローンを受けられることで団体信用保険などに加入すればリスクを抑えられます。
賃貸併用住宅のメリット
賃貸併用住宅の一番のメリットは、住宅ローンが使えること、家賃で住宅ローンの返済ができることです。
例えば、7,000万で物件を建築し、借り入れ7,000万、変動金利0.5%、35年でローンを組んだとすると毎月の返済は18万程度です。
1階部分をワンルーム3室とし、毎月7万程度で貸せれば21万となり、3万程度プラスになります。
固定資産税等や運営費があるので、実質的には少しマイナスになると思います。
しかし、シミュレーションのとおりいけば、ただでマイホームを得られることになります。
他には、賃貸する部屋を1ルームではなく、2LDKなどファミリータイプにしておけば、2世帯住宅として使えるなど、将来を見越していろいろなプランを検討することが可能です。
賃貸経営がうまくいけば、賃貸併用住宅は非常にメリットのある不動産投資と言えます。

賃貸併用住宅のデメリット
メリットの多い賃貸併用住宅ですが、意外に失敗したいう話をよく聞きます。
やはり、1番問題となるのが入居付けのできないケースです。
賃貸併用住宅の場合は、戸建を建てるエリアなので実際には単身向けのエリアでないことが多く、いざ募集しても入居者が決まらないこともあります。
それならファミリーにしたらどうかと考えるかもしれません。
例えば単身7万 × 3室=21万に対してファミリーとなると15、16万となるので、ハウスメーカーは企画段階では家賃の多く取れる単身向けの提案することが多いというわけです。
いくら条件の良いローンが組めても、賃貸経営がうまくいかなければ意味がありません。
そのため、賃貸併用住宅を建てる際に最も重要なのは、そのエリアで企画する賃貸業が成り立つのかどうかをきちんと調査することだと言えます。
他には、入居者が良い人だといいですが、音を出したり、近隣ともめるような不良入居者だと大変です。
自分が上に住んでいることもあり、直接被害を受けることもありますし、大家として対応しないといけません。
また、特殊なタイプの住宅になるので、運用がうまくいかずに売却するとなった場合は、なかなか売りづらい物件になってしまいます。
賃貸経営のノウハウは必要
賃貸併用住宅は、うまく運用できれば、条件の良い融資である住宅ローンが使え、家賃収入でその住宅ローンを支払えるということで非常にメリットの大きい不動産投資です。
しかし、いくら条件が良いとはいえ、不動産投資を行うことになるので、最低限の賃貸経営のノウハウを持っていないと捕らぬたぬきの皮算用になってしまいます。
賃貸の部屋を作る分だけ物件価格も上がりますので、家賃収入がなければ返済も非常に厳しいものになります。
ハウスメーカーなどは、高い物件を建てられるので賃貸併用住宅を建てたいという要望があれば当然提案をしてくれます。
しかし、ハウスメーカーはあくまで建築のプロであり、賃貸についてはプロではなく、グループ会社を使ってある程度は調査してくれますが、それが良い提案かどうかを見極める力がなければ失敗してしまいます。
賃貸併用住宅は、家賃でローンが返せるから安心というセールスがあった場合には、本当にこのエリアでその提案の賃貸経営が成り立つのかをきちんと調査し、その上で計画を進めるようにしてください。(執筆者:山口 智也)