犬や猫などをペットショップで買うには、意外に高額の代金が必要です。
ペットローンを組んで購入する方も少なくありません。
新型コロナによる外出自粛要請をきっかけとして、ペットローンを利用してペットを購入した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、ローンを支払えなくなったときに大切なペットの犬や猫がどうなるのかは気になるところですよね。
カーローンを滞納した際に車を引き揚げられるのと同じように、犬や猫も連れて行かれてしまうのでしょうか。
今回は、ペットローンを滞納した際に、購入したペットがどうなるのかについて説明します。

目次
ペットそのものを差し押さえられることはあまりない
ペットローンを組む際に多くの場合には、ペットとなる動物の所有権留保が付けられていると思います。
所有権留保とは、債務者がローンを完済するまでは購入対象物の所有権をローン会社にとどめておくことを言います。
所有権留保が付いている場合、法律上の原則としては、ローンを滞納するとペットはローン会社に引き揚げられてしまいます。
ただし、実際にはローン会社がペットを連れて行ってしまうことはまずないようです。
一般的な犬や猫は成犬・成猫になってしまうと高く売れません。
売却するにしても、一定期間はエサやりや健康管理などにコストがかかるためにデメリットが大きいのです。
また、未払いローンについて裁判にかけられて差押えを受ける場合に、ペットを差し押さえられる可能性はさらに低いと言えます。
動物の競売は法律上は可能であるものの、裁判所ではまず取り扱われません。
ペットが連れて行かれるのはこのような場合
ただし、ペットを連れて行かれる可能性が全くないわけではありません。
観賞用の錦鯉など高値での売却可能なペットについては、引き揚げられてしまう可能性が十分にあるのです。
犬や猫の場合には高額で購入したものであってもローンを滞納するまでに価値が下がっていることが多いためか、引き揚げられる例はほとんどないようです。
給料や預貯金口座を差し押さえられる可能性はある
差押えを受ける場合、ローン会社はペットよりも債務者の給料や預貯金口座などを差し押さえてくるはずです。
そちらの方が金銭を回収できる可能性がはるかに高いからです。
これらのものを差し押さえられると生活に支障をきたすこともあるでしょうし、給料を差し押さえられた場合にはローンの滞納が会社にばれてしまいます。
そのため、差押えを受ける前に対処しておくことが大切です。

任意整理で解決できる場合もある
ペットローンの他にも借金がある場合には、債務整理をすることが有効です。
債務整理をする場合には、任意整理がおすすめです。
自己破産と個人再生の場合は、ペットローンも支払いを停止して手続きに含める必要があります。
そのため、ペットの引き揚げの問題が出てきます。
それに対して、任意整理の場合にはペットローンだけはそのまま支払い、その他の借金のみを整理するということも可能です。
ペットも大切ですが、自分の生活も重要なので、支払いが厳しくなったら早めに対処するようにしましょう。(執筆者:元弁護士 川端 克成)