「子どもに負担をかけたくない」
この2つのワードは終活をしていくうえで多くの人から聞かれる声です。
しかし、自分自身の葬儀や弔いを自分の手で行うことは当然のことながらできません。
死後の処理は必ず誰かの手を借りなければならず、それを「負担」というのであれば、葬儀において負担は避けられないことです。
目次
「葬儀信託」とは
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そうしたなかで、近年注目を集めているのが「葬儀信託」です。
「葬儀信託」とは、生前に葬儀社と契約し、葬儀社を通じて葬儀費用を信託銀行に預けておくというサービスです。
事前に喪主候補者を決めておき、もしも自分に何かあった時には、生前に交わした契約内容通りに葬儀をしてもらえるのです。
また、事前に葬儀費用を預けておくので、家族やまわりの人に費用の負担をかけずに済みます。
まさに、「自分らしい葬儀」と「負担をかけない」を両立させられるのが「葬儀信託」なのです。
「葬儀信託」利用の流れ
「葬儀信託」は次のような流れで利用します。
Step 1. 葬儀社への相談
まずは葬儀社に相談します。
「葬儀信託」を扱っている葬儀社は限られますので、インターネットなどで事前に調査しておきましょう。
Step 2. 見積もり・契約
自身が希望する葬儀内容で見積もり、契約します。
通常の契約と違うのは、喪主と葬儀社の2者間契約ではなく、申込者、喪主候補者、葬儀社の3者、あるいは監視機関を含めた4者間の契約になる点です。
指定の金融機関口座に代金を振り込むと契約完了です。
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Step 3. ご逝去・連絡
申込者が亡くなると、喪主候補者、または周囲の人が葬儀社に連絡します。
Step 4. 葬儀
葬儀社は契約内容に沿って葬儀を進めていきます。
Step 5. 清算
信託口座に預けられた費用から葬儀費用が支払われるため、喪主の費用負担は基本的にはゼロです。
ただし、契約内容にはない突発的な費用超過が発生した場合には別途費用が請求されます。
「葬儀信託」は「おひとりさま」にこそおすすめ
・ 自分らしい葬儀をしたい人
・ 子どもに負担をかけたくないと考える人
におすすめなのが「葬儀信託」です。
しかし、実は、身寄りのない人、いわゆる「おひとりさま」にこそ知っておいてもらいたい葬祭サービスです。
家族や親族などの身よりがいない人にとって、自分の葬儀をどのようにすべきか、大きな不安がつきまとうものです。
「葬儀信託」を利用することで、事前に葬儀内容を決め、費用を預け、そして喪主候補者を定めておくわけですから、いざという時も安心です。
「葬儀信託」の契約には必ず喪主候補者が必要ですが、家族や親戚だけではなく、友人や知人や弁護士などの第3者でも構わないものとされています。
信頼できる知人や専門家と死後事務委任契約を結び、喪主候補者になってもらいましょう。(執筆者:葬儀業界15年、1級葬祭ディレクター 五十嵐 信博)