生命保険は被保険者が死亡などの所定の状態になったとき、契約時に定められた額の保険金が支払われます。
そのため、保険金の額について把握することは容易です。
しかし損害保険の保険金は、契約している保険金を上限に、実際に損害を受けた金額のみを補償する「実損てん補」が基本となっています。
とはなりませんので、損害保険を契約する際は保険金の額が特に重要です。
今回は火災保険や地震保険に代表される損害保険の支払われる保険金について解説していきます。
目次
火災保険などの保険金は新価と時価で算出

生命保険とは異なり、損害保険の保険金は実際に生じた損害額を補償することを基本としています。
けれど、この「実際に生じた被害額」という点に注意が必要です。
通常、物品の損害額の補償というと、同じものを再度購入した場合の金額(新価・再調達価額)を指すと思うでしょう。
しかし、場合によっては新価から使用した分を減価する時価に基づいて保険金が支払われる場合があります。
時価による支払いの場合は、再度購入する金額よりも少ない保険金しか得られません。
そのため、損害保険を契約する際はどちらの評価方法で保険金が支払われるかを確認することが大切です。
地震保険の保険金はさらに特殊

自然災害の中でも、噴火や地震による倒壊や火災は広範囲に甚大な被害をもたらします。
そのため、民間の保険会社では補償を行うことが難しく、国が主体となっている地震保険が補償の大きな受け皿となっています。
しかし、その保険金の支払い方法は他の損害保険とも少々異なっており、実際の損害額に対する補償は行われません。
地震保険では、4つに区分されている損害の認定によって支払われる保険金の割合が決まり、時価を上限に、生じた被害の程度が、
・ 大半損であれば60%
・ 小半損では30%
・ 一部損では5%
となり、一部損に満たない場合は保険金は支払われません。
また、新価ではなく時価が上限となるため、保険の目的物の価値より保険金の上限額が低い一部保険の状態となっています。
地震保険で支払われる保険金だけでは以前の生活を再建できませんので、
・ 支払われた保険金などの範囲で再建規模・水準の見直し行う
・ 地震に関する少額短期保険を利用し保険金を上乗せる
などの対策が必要です。
契約内容をしっかり把握して「もしも」に備えよう
契約した保険金が支払われる生命保険とは異なり、損害保険の保険金はあくまで支払われる保険金の上限額を定めたものです。
実際の保険金は、損害額に応じた金額が支払われます。
このため、保険の目的物の価値を上回る保険金を設定することは超過保険とされ、超過部分の契約は無効となります。
損害保険を契約する際は保険金の契約額に注意し、新価・時価のいずれの評価方法で算出がなされるかをよく確認しましょう。(執筆者:菊原 浩司)