不動産投資の最大の悩みは、空室だと言えます。
いくら安く物件を購入できても、肝心の入居者が決まらなければ収益を上げられません。
これまでの空室対策と言えば、設備の交換、間取りの変更などのリフォームや賃料など賃貸の条件調整が主流でしたが、最近は生活様式の変化に伴って空室対策も変化してきています。
今回は、最新の空室対策について事例をあげてお話ししたいと思います。

目次
1. 空室対策に有効な設備の導入
空室が長く続いている物件に多いのが、最低限必要と言われる設備が整っていないケースです。
単身向け、ファミリー向けで必要な設備は異なりますが、入居者に必要な設備を整えるだけで有効な空室対策になります。
必要な設備の上位は、単身向けであれば、
・ 室内洗濯機置き場
・ TVモニター付インターホン
・ 無料のインターネット設備
ファミリー向けであれば、
・ 室内洗濯機置き場
・ 独立洗面台
・ お風呂の追炊き機能
です。
ほかにも、単身向けでは、
・ 独立洗面台
・ 洗浄機能付き便座
・ エントランスのオートロック
ファミリー向けでは、
・ システムキッチン
・ 室内洗濯機置き場
・ TVモニター付インターホン
などが「この設備がないと入居者が決まりにくい」と言われています。
空室対策で悩んだら、まずは「ここに挙げたような設備があるか」、なければ「付けられるのか」を検討してみてください。
2. 生活様式の変化に伴う空室対策
最近では、パソコンやスマートフォンの普及により、無料のインターネット設備は付いていて当たり前で、特に単身者向けの場合には「ないと、かなり不利」だと言えます。
10年前には無料のインターネット設備があるだけで差別化できましたが、生活様式の変化によってそれが当たり前の時代になっています。
そしてまた、ここにきて家賃の支払い方法なども大きく変化してきています。
これまでの家賃の支払いと言えば、口座引き落としが主流で次いで現金払いで、クレジットカード払いは1割程度でした。
しかし、2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、キャッシュレス・ポイント還元事業が立ち上げられました。
キャッシュレス・ポイント還元事業は、増税前後の需要平準化とキャッシュレス決済の促進などを目的として、中小、小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を促進するものでしたが、その役割を2020年6月30日に終えています。
これがキャッシュレス化の促進に大きな功績を残したと言えます。
そのキャッシュレスの波は、賃料の支払いにも押し寄せています。
空室対策として、このように多様化する社会の要望に応えておくことは重要です。
家賃キャッシュレス決済のメリット・デメリット
大手賃貸仲介や管理会社などでは、クレカやコード決済できるところが増えています。
これまでも大手管理会社などではカードで支払えばポイント還元してもらえるといったサービスはありましたが、一般の大家さんなどはシステムの導入も難しくなかなか参入が難しい状況でした。
しかし、ORコードなどのキャッシュレス決済の場合にはカード決済よりも導入が簡単で、導入コストも抑えられるので一般の大家さんでも参入しやすくなっているので。
では、キャッシュレス決済を導入することで大家さん、入居者にはどういったメリット、デメリットがあるのでしょうか。
入居者のメリット
入居者のメリットは、初期費用や賃料をキャッシュレス決済にすることで、支払いが簡単でカードやアプリからポイントを得られることです。
わざわざ銀行まで行かなくても、家賃を支払えます。
入居者側にメリットは多く、デメリットはほとんどないと言えます。

大家さんのメリット・デメリット
大家さんにとっては、現金の振り込みに比べて家賃の滞納リスクを軽減できる、他の物件との差別化が可能などのメリットがあります。
一方で最大のデメリットは、キャッシュレス会社に支払う手数料です。
導入コストは安いですが、利用する度毎にキャッシュレス会社に3~4%の手数料支払が発生します。
家賃が10万円の場合には、毎月3,000円~4,000円取られるわけです。
キャッシュレス決済導入の際に最も悩むポイントだと言えます。
空室対策では「何で差別化するのか」が重要
今後、キャッシュレス決済の導入は、空室対策として一定の効果を期待できると思います。
しかし、これもいつかは当たり前になる時代が来ます。
空室対策で重要なのは、
です。
賃貸物件は立地が重要で、駅前物件などのように立地が良ければそれだけで空室対策になります。
しかし、立地が悪い、部屋が狭いなど他の物件よりも不利な条件が多い場合には、家賃を下げるだけではなかなか入居者は決まりません。
「何で差別するのか」を検討することが重要です。
空室でお悩みの方はキャッシュレス決済の導入も含めて、自分の物件には何が必要なのかを分析して空室対策を見直してみてください。(執筆者:山口 智也)