財形貯蓄制度は、一定額までの元本から生じる利子・配当金の所得税を非課税とする税制優遇を受けられる勤労者の貯蓄方法です。
しかし、近年は金利低下の影響によって税制優遇(通称マル財)の効果が薄れ、利用者や貯蓄残高が減少の一途をたどっています。
では、本当に財形貯蓄の魅力はなくなってしまったのでしょうか。
実は、財形制度を介して利用できる生命保険「財形保険」には、通常契約の生命保険とは異なった特徴があり、財形貯蓄制度を利用するきっかけとなる可能性があります。
目次
財形貯蓄制度とは

財形貯蓄制度には、
・ マイホーム購入資金を準備する「財形住宅貯蓄」
・ 特に用途を定めない場合などに利用される「一般財形貯蓄」
の3つがあり、積立金の拠出は給与からの天引きによって行われ、定期預金や社債などの金融商品を介して貯蓄されていきます。
本制度が導入されている企業などで雇用されている55歳未満の勤労者であれば利用できます。
以前は預金などの金利が高かったことから利子所得などの非課税効果が大きく、盛んに利用される勤労者の代表的な貯蓄方法の1つとも言えるものでした。
残念ながら近年では利用者が減少し続けていますが 、財形貯蓄を介して行う生命保険である「財形保険」には低金利下ならではのメリットがあると考えられます。
「財形保険」の特徴

生命保険には約90%の世帯が加入しており、万が一の際の家族の生活保障のため、なくてはならないものとなっています。
保険料の一部が積み立られる貯蓄性のあるものも販売されていますが、近年の低金利の影響によって予定利率が下がり、保険料の上昇や貯蓄効果の鈍化といった影響が生じてきています。
類似の選択肢として、死亡保障を受けつつ保険料の一部を解約返戻金に回す「終身保険」があります。
こちらには保険金の額が一定であるのに対し、解約返戻金は加入期間に比例して増加していくため保険のレバレッジ効果は低下していくというデメリットがあります。
しかし、「財形保険」は、拠出金を自身で自由に設定することができるうえに、ほぼ全額積立に回るため貯蓄性が高いのです。
また、保険金の額については定額ではなく、
・ 積立額が多いほど手厚い保障となる
ため、貯蓄と保障を両立できるのです。
貯蓄と保障を両立できる「財形保険」も検討
財形貯蓄はマル財の魅力が薄れたほか、「NISA」や「iDeCo」などのより強力な税制優遇を備えた資産形成方法が整備されたことで利用者の減少が進んでいます。
しかし、「財形保険」は拠出金がほぼ全額積立金に回り加入期間が長引いても保険のレバレッジ効果が一定となっているため、終身保険と比べて有利な点があります。
生命保険は目的に応じて複数個の契約を結ぶケースが多く見られますが、ベース部分を貯蓄と保障の両立ができる「財形保険」に担わせてみてはいかがでしょうか。(執筆者:菊原 浩司)