新型コロナウイルスによる感染が拡大し、2020年4月7日に国は緊急事態宣言を出しました。
緊急事態宣言解除後も、休業要請や外出自粛の影響で経済活動が停滞し、解雇や雇い止めによる失業者の数が増加しています。
住宅ローンやクレジット会社からの借金がある方は、解雇によって収入がなくなった場合、返済が困難になってしまいます。
このような場合には、どうしたらいいのでしょうか。

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借金をそのまま放置することは危険
借金が返済できなくなった場合に、そのまま放置しておくと、遅延損害金により、借金の額がどんどん膨らんでしまいます。
特に遅延損害金は、通常の消費者金融では20%近い利率、住宅ローンで14.6%で設定されていることが多く、借金を放置しているとあっという間に借金の額が膨れ上がってしまいます。
住宅ローンのある方は、住宅ローンの返済が滞ると、銀行から保証会社に債権が移り、保証会社から競売を申し立てられることで、自宅を失ってしまうリスクもあります。
そのため、借金を放置することは非常に危険です。
借金を整理する方法
借金が返済できない状態にあったら、早めに対策をとる必要があります。
借金を整理する方法としては、主に以下の3つの方法があります。
(1) 任意整理
任意整理は、交渉によって、借金の減額や分割払いを認めてもらう方法です。
現在の返済額では支払いは難しいが、返済額が減ればなんとか返済を続けられるという方には有効な方法となります。
自己破産や、個人再生と異なり、特定の債権者のみを対象として借金の整理をすることもできます。
ローンが残っている自動車を除外することで、自動車を残すことも可能です。
(2) 自己破産
自己破産は、裁判所に申立てをすることで、借金がゼロになる(免責される)方法です。
資産がある場合には、原則として手放さなければならないというデメリットがあります。
しかし、今後の借金返済が不要になるということが最大のメリットです。
もともと目ぼしい資産がなく、借金の返済で生活がまわらないような方に有効な方法です。
(3) 個人再生

個人再生も、自己破産と同様に裁判所に申立てをする手続きですが、自己破産と異なり、借金がゼロになるということはありません。
借金の金額を大幅に減らし、3~5年の分割払いで返済していくというものです。
個人再生は、住宅ローンがあり、自宅は何としても残したいという方が主に利用する手続きです。
住宅ローン以外の借金を大幅に減額することで、住宅ローンの返済が可能になり、結果として、自宅を維持できるようになります。
早期に債務整理を検討しよう
新型コロナウイルスで失業した場合、国や各地方自治体による補償制度や無利子での貸付制度を利用できる場合もあります。
そのような制度を利用して、当面の支払いは乗り切れるかもしれませんが、仕事を失っている状態では、長く続けることは困難です。
債務整理を利用することによって、結果として、手元に多くのお金や自宅を残すこともできます。
失業により借金の返済ができず悩まれている方は、早期に債務整理を検討してみるとよいでしょう。(執筆者:弁護士 山本 静人)