これは住宅ローンの申し込みで金利の説明をしていた時のお客さまの言葉です。
「なるべく低金利にして!」と頼まれたので頑張ってお返事しましたが、この時には満足してもらえませんでした。
大きな金額を何十年もかけて支払っていくのが住宅ローンです。
少しでも金利を低くしたいということを誰もが考えますが、満足いく金利にならなかったらどうすればよいのでしょうか。
今回は多くのお客さまと金利交渉してきた銀行員がその秘訣をお話しします。
住宅ローンを検討中の人、いま住宅ローンを利用中の人もぜひ参考にしてください。
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目次
住宅ローン金利交渉で、銀行員を論破する話法
たとえば、10年固定金利で1.5%を希望したのに、1.8%の回答だったらどうしますか。
残念ながら、冒頭の「なんでもするから下げてよ!」では交渉になりません。
まず、「なんでもするから」と言った時点で、主導権は銀行員に握られてしまいます。
金利交渉で銀行員が参った3つのセリフ
私の経験から、金利交渉で「これを言われると参ったなあ」と思うセリフは次の3つです
その1.「他はこうだよ」
ダメもとで「他の銀行はもっと頑張ってくれるそうですよ」くらいは言ってみる価値が十分にあります。
本当は、今から他行に乗り換えるのが時間的にムリだとしても、ここはダメもとでよいのです。
相手の銀行員もあなたが他には行けないことを見透かしているはずですが、それでも効果はあります。
なぜなら銀行員は焦るからです。
考えて見てください。
「どうせよそに行かないだろう」とタカを括って、もしあなたが他で借りてしまったらどうでしょう。
私なら、時間を費やして、あとはもう契約するだけのお客さまを絶対に逃しません。
銀行員は住宅ローンを獲得するのが仕事です。
もちろん金利交渉も重要ですが、あまりにもたもたして、ローンを獲得できなければ全てが水の泡です。
上司や本社にかけ合ってでも、さらに金利引き下げを稟議します。
銀行員があなたを手放したくないのであれば、きっと金利引き下げにつながることでしょう。
ただし、いま提示されている金利がかなり限界に近い場合には、効果のほどは期待できないかもしれません。
その2.「コレがダメならアレ」
あなたは他行を引き合いに出して金利引き下げに成功しましたが、数字には納得できないとします。
では、次の交渉はどうしたらよいのでしょうか。
たとえば、10年固定金利1.5%の希望に対し1.8%と1次回答 → 他行をひきあいに出したら1.7%の回答で「これ以上ムリです。勘弁してください」と言われたとしましょう。
銀行員が「ムリだ」と言ったら、まず本当に無理です。
これ以上は不毛な交渉になりかねませんので、ただ単に金利引き下げを要求するのではなく視点を変えてみましょう。
それが、コレがダメならアレです。
たとえば、
「10年固定金利でムリなら、1/3の3年固定で金利も1/3にしてよ」
「変動金利にするなら、もっと低くしてくれるんでしょ?」
などです。
交渉中の金利の引き下げがもうこれ以上ムリなのであれば、切り口を少し変えるという考え方です。
もちろん、これも全て思いどおりにはいかないかもしれませんが、条件が変われば銀行の回答も変わる場合があります。
うまくいけば、自分の希望に近づくかもしれません。
その3.「金利がダメなら他にはないの?」
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ここまでは、
「コレがダメならアレ」の変化球
で交渉しましたが、もう本当に交渉の余地はなさそうです。
でも、まだあきらめないでください。
金利交渉しても無理だと感じたら、他のメリットを引き出すことを考えましょう。
たとえば
という具合です。
こちらは金利交渉と少し離れるので、また別の機会に説明しようと考えています。
自分が納得いくまで金融機関と話し合う
住宅ローンの金利は、これから長い期間にわたって返済していくうえで非常に重要です。
ローンを申し込んでいる間にはやることがたくさんあって、落ち着いて考えるのが大変な時もあることでしょう。
「時間がないからといって、その金利でも手を打って納得できるのか」をよく考えてください。
ローンを組んで家を買うあなたが納得できない点が1つでもあるのであれば、妥協せずに考え直すことも大切です。
私が対応した人の中には、金利に納得いかずに、家の売買前日に全てキャンセルしたお客さまもいました。
家を買う際には本当に考えることが多く、思考がまとまらないこともあります。
また、
「銀行の手続きもほとんど終わった」
「家族も新居を楽しみにしている」
こうなると、ほとんどの人が後戻りしにくくなって、この記事の金利のように、何かを我慢して住宅ローンを契約してしまいます。
あなたは、すべてを白紙に戻すことも可能です。
もちろん、業者や銀行、そして家族から何かを言われるかもしれませんが、これから先の何十年も不満や我慢を抱えるのはご自身です。
自分が納得いくまで、しっかりと話し合いを続けてください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)