出産にかかる費用について、さまざまな補助金や助成金が多くありますが、どの制度を活用できるか迷います。
そこで今回は、出産時にもらえるお金について、一覧表を用いながら詳しく解説します。
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目次
出産時にもらえるお金
まずは出産時にもらえるお金について、雇用形態別に一覧表にまとめましたのでご覧ください。
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1. 出産育児一時金
「出産育児一時金」は、雇用形態に関わらず子供1人につき42万円が健康保険から支払われる制度です。
双子の場合は2人分が支給されます。
基本的に自然分娩の場合は、「治療」ではないため公的保険の適用外です。
そのため分娩費用は自己負担ですが、出産育児一時金によって実質的な負担はゼロに近くなるでしょう。
2. 直接支払制度
また「直接支払制度」という、利用すれば退院時に出産費用を病院に支払わなくても済む制度もあります。
出産にかかった費用は、のちほど健康保険から病院に直接支払われます。
ただし全ての病院で適用できるわけではないため、入院前にしっかり確認しておきましょう。
3. 出産手当金
続いて「出産手当金」は、会社員だけが受け取ることができる制度です。
出産手当金は産前42日~産後56日までの期間を対象に、健康保険から支払われます。
受け取れる金額は、支給開始日以前の継続した12か月間の標準日額の2/3×産休取得日数です。
たとえば出産手当金を受け取る以前の継続した12か月の標準日額が1万円、産休取得日数が50日の場合、約33万円ほどの金額を受け取れます。
4. 妊娠検診費用の助成
続いて「妊娠検診費用の助成」は、妊娠が確定してから検診費用を無料または、一部負担に軽減してくれる制度です。
こちらも「出産育児一時金」と同様に、雇用形態に関わらず全員が受け取れます。
一般的な妊娠検診の回数が14回とされているため、
ただし自治体によって検診の回数や、助成金額が異なることに注意しましょう。
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5. 育児休業給付金
最後は「育児休業給付金」です。
育児休業給付金は会社員の方のみの支給で、健康保険からではなく雇用保険から支給される制度です。
受け取れる金額は
・ 180日経過後:50%
を休業した日数に応じて支払われます
たとえば月給が20万円で子供が1歳になるまで育休を取得した場合は、以下のようになります。
【180日目までにもらえるお金】
20万円 × 67% = 13万4,000円
【180日目以降にもらえるお金】
20万円 × 50% = 10万円
1年間合計:(13万4,000円 × 6か月)+(10万円 × 6か月)= 140万4,000円
上記の例では、1年間で140万4,000円を受け取れます。
状況次第では利用できる補助制度
ここまで出産時に受け取れるお金を見てきましたが、実は他にも補助制度が存在します。
以下で詳しく見てみましょう。
こちらも雇用形態別に一覧表にまとめましたので、ご覧ください。
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上記の3つは妊娠時だけでなくても受け取ることができる制度です。
ただし自然分娩など治療に該当しない場合は適用外となることに注意しましょう。
1. 高額療養費
まず高額療養費から説明します。
切迫早産などで帝王切開などの治療をしなければならない時は、医療費が高額になることもあります。
その場合収入によりますが、高額療養費制度を利用することで自己負担を軽減することが可能です。
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2. 傷病手当金
他にも会社員の方であれば傷病手当金を活用することも可能です。
傷病手当金も高額療養費同様に、切迫早産や流産などによる治療が条件で、医師から診断書が出され休業しなければならない時に支給されます。
たとえば標準報酬月額が20万円の人ならば、約13万3,000円が支給されます。
3. 医療費控除
そして最後に一定額以上の医療費を負担した場合、確定申告をすることで還付される制度が医療費控除です。
医療費控除については、以下の国税庁のHPに詳細が載っています。
参照:国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
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また上記3つの他に、産休・育休期間は健康保険料や年金保険料などの社会保険料が免除されることも覚えておくといいでしょう。
このように出産時には、いくつもの補助制度があることがご理解頂けたかと思います。
出産後にもらえるお金
そして出産後にもらえるお金もありますので、そちらも見ていきましょう。
出産後の育児でもお金がかかります。
実は育児期間についても、「児童手当」や「乳幼児医療費助成制度」などの制度が用意されています。
1. 児童手当
まず児童手当は、3歳未満の子供に月額1万5,000円を支給する制度です。
こちらは雇用形態に関わらず支給されます。
2. 乳幼児医療費助成制度
続いて乳幼児医療費助成制度ですが、子どもの医療費の全額もしくは一部を負担してくれる制度です。
こちらは各自治体が運営しているため、親の年収や子どもの対象年齢などの支給条件はさまざまですので、お住まいの自治体のHPなどで確認するといいでしょう。
出産はお金がかかるというイメージがありますが、日本は社会保障制度が充実しているため、安心して出産・育児ができる体制が整っています。
まずはどの制度が活用できるのかを確認しておくといいでしょう。(執筆者:福森 俊希)