終活にどのくらいのお金がかかると思いますか。
葬儀や供養に関する考え方は人それぞれですが、地域による慣習が平均相場に影響を及ぼすこともあります。
このたび取り上げるデータは終活関連サービスを提供する株式会社鎌倉新書が行った「都道府県別 終活に関する全国調査」(2020年)です。
この調査内容が大変興味深いですが、この記事では仏壇の購入費用の地域性について考えてみます。
目次
仏壇にお金をかける地域は西日本に多い

まずは調査結果のデータを見てみましょう。
仏壇の購入費用が最も高いのが中部地方の99万6,300円、2位が近畿地方の82万8,500円です。
3位が中国・四国地方の72万500円、そして4位にようやく関東地方が登場して62万4,500円、以降、北海道・東北地方、九州地方と続きます。
こうして見ると、全6エリアの上位3エリアが西日本です。
中部地方を東西どちらに取るかは意見の分かれるところですが、フォッサマグナで東西を分けるとなると西日本エリアと見て構わないことでしょう。
さて、どうして西日本の方が仏壇に多くの費用をかけるのでしょうか。ここからは筆者の仮説です。
上位3エリアは浄土真宗が多い
この調査データを見て初めに思ったのは、「西日本には浄土真宗が多い」ということです。
仏壇業界では常識ですが、浄土真宗で用いられる金仏壇は、それ以外の唐木仏壇や家具調仏壇よりも単価そのものが高いです。
そして浄土真宗が盛んなエリアは、西日本です。
実際に金沢、富山、名古屋、彦根、京都、大阪、姫路、広島などは浄土真宗が大変盛んで、金仏壇の産地としても有名です。
最近では金仏壇を選ぶ人も減っていますが、それでも地方に行くとまだまだ金仏壇を購入する人を見かけます。
関東型は「箱型の上置き仏壇」

東京をはじめとする関東地方では昔から「箱型の仏壇」が主流だったことです。
要は下台のついた仏壇よりもコンパクトです。
今でこそ「上置き仏壇」は、狭小住宅やマンションなどの集合住宅が多い時代にマッチしたコンパクトな仏壇として日本中で選ばれていますが、どこよりも早く都市化した東京を中心とした関東地方では、この「上置き仏壇」が早い段階で祀られていました。
コンパクトであるために、費用も安価です。
費用と想いのバランスが大事
仏壇はお金をかければよいというものではありません。
一方で、安ければよいというものでもありません。
大事な家族を祀るので、満足のいく買い物であることが大切です。
仏壇店の店頭に毎日立つ者としては、仏壇の単価の低下を日々感じています。
鎌倉新書の調査データでは全国平均が73万2,000円とのことですが、中央値を割り出すと価格はさらに安くなることでしょう。
仏壇は、安価なものでは数万円台から販売されていますが、大切なのは費用と想いのバランスです。
無理はせずに、しかし、お気に入りの仏壇を探し当てて、気持ちよく手を合わせたいです。(執筆者:葬儀業界15年、1級葬祭ディレクター 五十嵐 信博)