失業保険とは、会社を離職した場合に受給できる社会保障のひとつで、正式名を雇用保険の基本手当と言います。
雇用保険の目的は、失業や雇用の継続が困難になった場合に生活や雇用の安定を図るために給付を行うことで失業保険もその内のひとつです。
失業保険は失業中の人にとって大切な収入源ですが、税金がかかるのでしょうか。
今回は、失業保険の受給には税金がかかるのかや、確定申告が必要かどうかについて詳しく解説していきます。
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目次
失業保険の受給条件
失業保険を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。
・ 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あること(働いた日数が11日以上ある月を1か月とみなします。)
ただし、特定受給資格者と特定理由離職者については、雇用保険の被保険者期間が、退職の日以前の1年間に6か月以上あれば受給資格を得られます。
失業保険は税金がかからない
失業保険を受給するには、最低限失業していなければなりません。
また、失業保険とは、最低限の生活を保障するために支給されるものです。
そのため、所得税や住民税の課税対象にはなりません。
失業保険を課税してしまうと、最低限の生活もできなくなってしまうからです。
このように、失業保険により受給する金額は、課税されないため所得としてみなされることもありません。
そのため、この分の金額については、確定申告を行う必要もありません。
失業保険の受給中の確定申告
失業保険の受給額については確定申告する必要がありませんが、失業保険の受給中に他の事由で確定申告しなければならないケースがあります。
失業中のため年末調整が行えない場合
会社で働いている場合は、年末に年末調整を会社で行ってくれます。
しかし、年の途中に会社を辞めて年末に再就職ができなかった場合は、年末調整を行えません。
会社員の場合は、源泉徴収という形で毎月の給料から見込みの所得税を支払っています。
そのため、年末調整で確定した1年間の所得税と、源泉徴収による見込みで払った所得税の差額を精算します。
失業中の場合は年末調整ができません。
働いていた時の見込みの源泉徴収額と確定した所得税額の差額を確定申告にて精算しなければなりません。
自分で社会保険料を支払った場合
会社員の場合は、健康保険料も厚生年金保険料も給料から天引きで支払っています。
しかし、会社を辞めて失業中の場合は社会保険料を払わなくてよいわけではなく、自分で国民健康保険料や国民年金保険料を支払う必要があります。
この失業中に払った社会保険料は、社会保険料控除として控除の対象になります。
そのため、自分で社会保険料を払った場合は、確定申告をすることで税金が還付される可能性があります。
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失業保険を理解しましょう
このように、失業保険は所得にならないため、税金はかかりません。
また、確定申告も基本的に必要ありません。
失業保険は失業中の大切な収入源になりますので、よく理解することが必要です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)