一戸建てやマンションといった物件が欲しいと思ったときに、インターネットで検索して10万円や20万円といった破格の物件をみつけて歓喜してしまうケースがあります。
しかしながら、数十万円だと思って買った物件が場合によっては最終的な支払金額が数百万円になることもあるので要注意です。
今回は、競売や格安物件によくある「費用面でリスクを負う可能性が高い不動産」とその対策について紹介します。
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目次
格安物件には「何か」がある
販売価格や家賃を見て「安い!」と感じられる物件には、不動産会社いわく「ほぼ100%の確率で何か」があります。
前の住人がまだ住んでいたり抵当権がついていたりする場合もありますし、購入する際に前住人が滞らせている管理費用などを支払わなければならない場合もあります。
なお、前住人が住んでいるケースについては、競売物件の項目で併せて説明します。
内装がボロボロだったり、ゴミがたくさん放置されていたり、平地でも少しの雨で浸水してしまうような物件も少なくありません。
「築年数が古い」、「間取りが悪い」など人によっては我慢できる範囲から、今回紹介する「販売価格よりも、住めるまでにかかる費用のほうが高額になるケース」までそれぞれです。
なかには事故物件といったケースもあります。
格安物件の場合には、特記事項をよく確認したうえで内覧すると同時に、外観や災害マップもチェックしておきましょう。
格安物件の場合には理由を尋ねる
安い物件を見つけたら、まず「どうして、こんなに安いんですか?」と、単刀直入に不動産会社に尋ねてみましょう。
事実を隠蔽するような悪質な不動産会社でないかぎりは、安い理由を説明してくれます。
最近では告知義務がないようなケースでも説明してくれることが増えています。
「格安の理由が妥協範囲か」を考える
格安でマイナスイメージの大きな物件でも、住む人の条件でマイナスが相殺できることもあります。
自分の条件にあっていれば、それはお得な物件となります。
「直接取引」には十分に注意する
格安物件の場合、不動産会社を介していないような物件もあります。
インターネットで探した物件はもちろんのこと、友人や親戚といった個人間取引でもトラブルが起きかねないため、リスクの高い直接取引は控えるようにしましょう。
仲介手数料などが発生しても不動産会社にあいだに入ってもらうほうが、結果的に安く購入できることが多いのです。
こちらは、これから紹介する競売物件の項目で少し触れていきます。
3~4割も安価なはずの「競売物件」にも注意
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インターネットで安い物件を探していると「競売物件」に辿りつく人も多いようです。
競売物件のメリット
競売物件は、一般的な査定のだいたい3~4割も安く購入できます。
また、
・ 不動産屋を介さず購入するため、仲介手数料が不要
といったメリットもあります。
ただし、なかには自殺や他殺などの事故物件もあります。
また、築年数が古い場合には、金銭的困窮からメンテナンスに回すお金がないケースが多く、老朽化が進んでいることもあります。
しかしながら、そういったメリットと安価な販売価格ばかりに目を奪われてしまうと、以下のようなデメリットに気づきにくくなってしまいます。
競売物件のデメリット
・ 内覧(物件の室内を見ること)ができない
・ 競売物件は競争が激しいため、物件に関する付帯設備や周辺環境の確認などを短期間でおこなわなければならない
・ 競売物件には、瑕疵担保責任がないため、買った物件に何があっても責任追及できない
※ 一般的な不動産購入の場合には、購入した物件にシロアリがいたり、雨漏りしたりする場合、見えない傷があったとして「瑕疵(かし)担保責任」が問える場合があります。
・ 入札したり落札したりするのがはじめてだという人にとって、手続きが頻雑で時間がかかると感じることが多い
・ ローンも組むことができるが、素人にはタミングや手続きが難しいことが多く、一括支払いの選択肢しかないことが多い
・ 明け渡しのタイミングでトラブルが起きることがある
数十万円の競売物件が数百万円に
ここでは、数十万円の競売物件を購入したものの、住むまでに数十万、数百万の費用が発生するケースについてお伝えします。
競売物件の購入後に問題となるケース
競売物件を購入したあとに特に問題となるのが、
・ 建物内がボロボロの状態で引き渡された
・ 建物内がゴミの山だった
といったケースです。
強制執行も可能だが現実は
前住人が出て行かない場合には手続きをして法的に追い出すことは可能ですが、ここで思い出してほしいのが「支払い不能で競売にかけられた物件が多い」ということです。
つまり、競売物件に住み続けている人は「支払能力」がないことが多いため、強制執行や引っ越しにかかる費用は購入者が支払って折り合いをつけるというケースが少なくありません。
格安物件で直接取引の場合にも簡単に退去してもらえないケースがあります。
退去してもらうまでは自分の居住スペースを確保しなければならなくなり、現在が賃貸暮らしの場合には毎月の家賃が発生することにも留意しておきましょう。
また、内覧できない競売物件では建物内がゴミの山だったり、ボロボロの状態で引き渡されたりすることがあります。
そのため、ゴミの処分費用や内装代など思わぬ出費となり、その額が数百万円になることもあるのです。
競売物件を手に入れたいときには
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もちろん費用は発生しますが、不動産競売流通協会正会員などにサポートしてもうと、リスクを緩和しながら競売物件を購入できます。
不動産競売流通協会正会員は、普段から不動産取引を行っている不動産のプロが会員となって組織する団体です。
素人では難しい現地調査や周辺環境の聞き取り、落札できる可能性の高い価格の算出などを頼めます。
競売物件は一般的な物件のように在庫を持つ必要がなく、不動産会社にとってもメリットがあるためwin-winの関係で進められます。
物件を安く手に入れたいときには
競売物件を手直しして安く販売している不動産会社もあるので、
と尋ねてみましょう。
競売物件を自分自身で落札するよりは高額になりますが、もともとの仕入れ価格が安いので、手直しなどが少ない優良物件については一般的な査定価格よりも割安で手に入れられることがあります。
不動産会社が落札した「元競売物件」の場合
不動産会社がいったん落札している物件であれば、一般的な物件を購入するときと同じように通常のローンを組むことができます。
また、住んでいる人がなかなか出ていかないような場合や処分する荷物などがある際にも、不動産会社が間に入って対応してくれることが多いと言えます。
「土地だから安心」は間違い
建物ではなく土地を買うのだから、リスクが少ないと考える人もいると思います。
しかしながら、雑草が生い茂っているケース、前所有者がゴミや車検の切れた車などを放置しているといったケースもあります。
雑草を刈って整地したりゴミを処分したりするのに、数十万単位のお金が必要になることもありますので、リスクを緩和するためには現地確認などが必要です。
リスクを高める「直接取引」
「直接取引」には、不動産会社に仲介してもらわずに家や土地といった不動産を売買することで、仲介手数料が不要になったり物件を安く手に入れられたりするといったメリットがあります。
しかし、素人にとってはリスクのほうが大きいのが現実です。
特に競売物件や格安物件では、大きなリスクを背負うことになるケースも少なくありません。
販売価格は安くても想像もしていなかったお金や時間がかかることも多いため、自分でもよく勉強してからプロに任せるのが得策と言えるでしょう。
「本当に安いか」を見極めて損失を回避
家や土地といった不動産は、人生のなかでも非常に大きな買い物です。
販売価格だけを見て「安い」と判断し、飛びつくのは危険です。
まずは、購入を検討している物件が安くなっている理由について調べ、ある程度の不動産知識を得たうえでプロの手を借りながら購入するようにしましょう。(執筆者:最強節約ママ 山内 良子)