このような場合には、何とも言えない嫌な時間を過ごさなければなりません。
しかしこのような場合、金融機関は通常の手続き以上の手間暇をかけて、案件を個別具体的に審査しているのです。
今回は、住宅ローンの審査で「すぐに結論が出る場合」、「フラット35の場合」、「銀行ローンの場合」を解説していきます。
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目次
すぐに「不承認」などの否決結果が出る場合
住宅ローンの事前審査の段階では「個人信用情報機関」の利用に関する同意書を申込人から徴求しています。
そして、KSC(全国銀行個人信用情報センター)、JICC(日本信用情報機構)、CIC(指定信用情報機関)の3つの機関から、過去に延滞などがなかったかを照会します。
JICCは消費者金融での取引
CICはクレジットカードでの取引
と理解しておけばよいと言えます。
ご存じのように、住宅ローンの返済は35年などの長期に亘るため、過去に延滞などがあり、その期間が長い場合には住宅ローンは「不承認」となります。
ちなみに、この作業は第1段階で行われているため、結果はすぐに分かります。
フラット35などで返答がなかなかない場合
フラット35は、提供金利こそ違えど融資条件は統一されています。
金融機関やモーゲージバンクが住宅金融支援機構の代理店となっています。
代理店である金融機関等には「一定の権限」は与えられていますが、代理店だけで判断できない事案は住宅金融支援機構の職員が直接判断します。
フラット35で返答がなかなかない場合には、代理店だけでは判断できずに住宅金融支援機構の直接の判断を仰ぐために、申込書一式が住宅金融支援機構の担当部署に送られています。
ここから住宅金融支援機構の担当者が稟議書を作成して判断する訳ですから、当然のことながら時間がかかる訳です。
自営業者の案件などはこのルートを通る場合が多いのですが、住宅金融支援機構が問題ないと判断すれば「満額承認」になりますし、返済の継続性に疑義がある場合は「減額承認」となります。
自営業者の方は当初から時間がかかるという覚悟、サラリーマンの場合には「減額承認」などの覚悟が必要かもしれません。
銀行ローンで返答がなかなかない場合
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銀行ローンの場合でなかなか返答がない場合には、2つに分けて考える必要があります。
(2) 融資額が高額であるがゆえに、保証会社との調整に時間がかかっている
場合です。
銀行ローンの場合には取引先からの紹介などのさまざまなルートを通じて住宅ローンの相談が持ち込まれますが、最終的には保証会社の保証を取らなければなりません。
融資額が高額になればなるほど保証会社の審査も厳しくなるため、納得させる資料を用意するのに時間がかかるのです。
ただし、これらの案件は最終的には取引先も納得する条件で融資しますので問題ありません。
一方で、銀行ローンの審査はフラット35よりも厳しいので、なかなか返答がない場合には上記と同様に「減額承認」などの覚悟が必要かもしれません。
返答がなかなかない場合には次善の策を考えておく
残念ながら本人が電話をしたとしても、金融機関は個別案件がどうなっているかを教えてくれません。
最終的な結論がどうなるかが分からないなかで安易に回答してしまうと、後々トラブルになるからです。
ただし、返答がなかなかない場合には「満額承認」の可能性は低くなるため、待っている間に次善の策を考えておくとよいことでしょう。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)